海水は飲むべきか?~実験航海の記録から~
もしもあなたが海で遭難し、漂流を余儀なくされたとき、水をどう確保するか?
「実験漂流記」(アラン・ボンバール)と「太平洋漂流実験50日」(斉藤実)による実験結果をまとめて記しておくので、漂流したとき!の参考にして下さい。アラン・ボンバールによれば、多くの海難事故では漂流3日以内に死亡する例が非常多いとのことです。通常3日間くらい飲まず・食わずで死に至ることは考えにくいことを考慮すると、多くは「絶望が死をもたらす」ことを示唆しています。絶望に至る前に正しい知識を持っていることが大切です。
「実験漂流記」から
1952年5月~12月にかけて、地中海から北東貿易風にのって大西洋を横断しバルバドス島までの漂流実験の結果である。
。菊鈹米發任△譴弌∨萋釭牽娃亜腺坑娃娃蹌譴粒た紊里澆魄獷鵑OK.。ちびちび飲むのがよい。5日 を越えると腎臓に負担がかかりすぎ腎炎で死に至る可能性があるので注意。海水すら飲まないと体の 絶対水分が低下しかえって危険。極度の水分低下は必要以上の「渇き」を覚えさせる。
体の絶対水分量が低下した段階で海水を飲むのは、急激に塩分濃度が高くなるので危険である。最初 から海水をちびちび補給しておくことが大切である。
真水の補給は魚を絞って得ることができた。常にシイラがボートのまわりをついて来ていたので、魚 にはこと欠くことがなく栄養分の補給にもなった。また、手製の蒸留装置で海水を蒸留して真水を得 た。
ぅ咼織潺鵝Ε潺優薀襪覆匹糧匇民浜楞任魯廛薀鵐トンを捕獲して補った。
アラン・ボンバールはかなりの巨漢であるので、体の小さい人にとって1日800~900mlの海水はちょっと多すぎと思う。少し減らした方がよいだろう。また、魚は本当はイヌイットのように内臓まで生で食べれば、ほぼ完全に栄養分を補給できると思われるが、実際にできるかはわからない。またプランクトンは完全栄養食品となるので捕獲さえできれば有用な食品となるだろう。ただし量の確保が難しそうである。
「太平洋漂流実験50日」から
これは、1972年頃の実験で、ボンバールの実験なども踏まえた上での漂流実験であった。台風から生還したそのすさまじい体験は以前に紹介しているのでそちらを(BOOK参照)してください。水の問題については、夏の沖縄周辺での医者による検査なども含む5日間の実験から次のように結論づけています。1人当たり1000mlの真水があるという前提です。
,發辰箸眤瞭眇緤減少が少なかったのは、1日あたり、真水200ml+海水100mlのグループ
⊆,紡瞭眇緤減少が少なかったのは、1~3日目まで1日300mlの海水を飲み、4,5日目は真 水500mlを飲んだグループ。
もっとも結果が悪かったのが、5日間、1日あたり海水200mlづつ飲んだグループ。
ぐ幣紊ら、,里茲Δ乏た紊鬘廓楪?戮貿?瓩譴仞戸?塩水とほぼ同じ濃度になるので、いつまでも OKということがいえる。の真水のみは絶対水分量の不足といえる。
この結果は、汗をかいた場合は塩分の補給も必要という現在のスポーツ医学の常識に合致している。カイチョーの経験でも、真夏のカンカン照りのようなときは、スポーツドリンクをちびちび飲みながら漕ぐとほとんど喉が渇かないという経験に一致している。気温などの影響も当然考えなければならないが、「海水の飲用は一定の条件下では可能」ということは覚えておいて損はないと思う。
海の遭難で記憶にあるのが1991年のヨット「たか号」である。転覆後、冬の北太平洋を救命ボートで20日以上漂流して7名中1名のみが生還した遭難である。以前にこの記録を読んで驚いたのは、生存者以外は皆、ジーンズにトレーナーのようなウエアであり、生存者のみがオーロンのアンダーウエアを着用していたという事実であった。この当時、シーカヤッカーにとってはオーロン(アクリル繊維)やPPの下着は常識だったのだが。
確かに、このことのみが生死を分けたということではないかも知れないが、海に対して常に謙虚に向かい合うことの大切さをこの事件は示唆しているように思う。このとき船長はたか号とともに海に沈んでいったそうであるが、亡くなられた方々の死を無駄にしないためにも、海へ出る以上は、生きて還るためのあらゆる努力はすべしと考えるのである。
もしもあなたが海で遭難し、漂流を余儀なくされたとき、水をどう確保するか?
「実験漂流記」(アラン・ボンバール)と「太平洋漂流実験50日」(斉藤実)による実験結果をまとめて記しておくので、漂流したとき!の参考にして下さい。アラン・ボンバールによれば、多くの海難事故では漂流3日以内に死亡する例が非常多いとのことです。通常3日間くらい飲まず・食わずで死に至ることは考えにくいことを考慮すると、多くは「絶望が死をもたらす」ことを示唆しています。絶望に至る前に正しい知識を持っていることが大切です。
「実験漂流記」から
1952年5月~12月にかけて、地中海から北東貿易風にのって大西洋を横断しバルバドス島までの漂流実験の結果である。
。菊鈹米發任△譴弌∨萋釭牽娃亜腺坑娃娃蹌譴粒た紊里澆魄獷鵑OK.。ちびちび飲むのがよい。5日 を越えると腎臓に負担がかかりすぎ腎炎で死に至る可能性があるので注意。海水すら飲まないと体の 絶対水分が低下しかえって危険。極度の水分低下は必要以上の「渇き」を覚えさせる。
体の絶対水分量が低下した段階で海水を飲むのは、急激に塩分濃度が高くなるので危険である。最初 から海水をちびちび補給しておくことが大切である。
真水の補給は魚を絞って得ることができた。常にシイラがボートのまわりをついて来ていたので、魚 にはこと欠くことがなく栄養分の補給にもなった。また、手製の蒸留装置で海水を蒸留して真水を得 た。
ぅ咼織潺鵝Ε潺優薀襪覆匹糧匇民浜楞任魯廛薀鵐トンを捕獲して補った。
アラン・ボンバールはかなりの巨漢であるので、体の小さい人にとって1日800~900mlの海水はちょっと多すぎと思う。少し減らした方がよいだろう。また、魚は本当はイヌイットのように内臓まで生で食べれば、ほぼ完全に栄養分を補給できると思われるが、実際にできるかはわからない。またプランクトンは完全栄養食品となるので捕獲さえできれば有用な食品となるだろう。ただし量の確保が難しそうである。
「太平洋漂流実験50日」から
これは、1972年頃の実験で、ボンバールの実験なども踏まえた上での漂流実験であった。台風から生還したそのすさまじい体験は以前に紹介しているのでそちらを(BOOK参照)してください。水の問題については、夏の沖縄周辺での医者による検査なども含む5日間の実験から次のように結論づけています。1人当たり1000mlの真水があるという前提です。
,發辰箸眤瞭眇緤減少が少なかったのは、1日あたり、真水200ml+海水100mlのグループ
⊆,紡瞭眇緤減少が少なかったのは、1~3日目まで1日300mlの海水を飲み、4,5日目は真 水500mlを飲んだグループ。
もっとも結果が悪かったのが、5日間、1日あたり海水200mlづつ飲んだグループ。
ぐ幣紊ら、,里茲Δ乏た紊鬘廓楪?戮貿?瓩譴仞戸?塩水とほぼ同じ濃度になるので、いつまでも OKということがいえる。の真水のみは絶対水分量の不足といえる。
この結果は、汗をかいた場合は塩分の補給も必要という現在のスポーツ医学の常識に合致している。カイチョーの経験でも、真夏のカンカン照りのようなときは、スポーツドリンクをちびちび飲みながら漕ぐとほとんど喉が渇かないという経験に一致している。気温などの影響も当然考えなければならないが、「海水の飲用は一定の条件下では可能」ということは覚えておいて損はないと思う。
海の遭難で記憶にあるのが1991年のヨット「たか号」である。転覆後、冬の北太平洋を救命ボートで20日以上漂流して7名中1名のみが生還した遭難である。以前にこの記録を読んで驚いたのは、生存者以外は皆、ジーンズにトレーナーのようなウエアであり、生存者のみがオーロンのアンダーウエアを着用していたという事実であった。この当時、シーカヤッカーにとってはオーロン(アクリル繊維)やPPの下着は常識だったのだが。
確かに、このことのみが生死を分けたということではないかも知れないが、海に対して常に謙虚に向かい合うことの大切さをこの事件は示唆しているように思う。このとき船長はたか号とともに海に沈んでいったそうであるが、亡くなられた方々の死を無駄にしないためにも、海へ出る以上は、生きて還るためのあらゆる努力はすべしと考えるのである。