あんまり空が青いと、立ち止まって眺めたくなる。
ススキが思いのほか、ブロンズ色をしていてキラキラしていることに気づいた。
さっき、ベランダから町の灯りが沢山あったの。
ユラユラしていて、こんなに光っている綺麗さに溜め息が出そうになった。
冷たい風が少し心地よくて、何処かに行ってしまいたくなる。

人の話というのは、身に染みるときほど何も云えないものだと知った。
何処から何処まで話せば、人というのは分かってくれるのだろう。
言いたいことの意図をどこまで言えば、気づくものだろう。
女というものは、大体の事を人と比較し、
それは言葉や持っているもの、容姿から行動まで。
全てを誰かと比較してみたり、重ねてみるものだけれど。
男というのは、自分だけは違うと思う。
何も違わないことを説明したところで、何も変わったりしない。
女は、とにかく忘れない。
男が言ったひとつひとつの言葉。行動。
怒鳴ったときの声も、優しかった過去も、表情も。
忘れないし、しかも時々思い出す。

男が女に敵わないものがあるとしたなら、
『自分に起こった感情を完璧に記憶する』ことでしょう?

もし、私が死んだのなら。
一体どれぐらいの人の心に残るのだろう。
どれぐらい、私を覚えててくれるのだろう。
時間が経って、悲しみがこみ上げなくなって、毎日が戻る。
また、友人のお父さんが危篤だという知らせが入った。

私を愛して欲しい、と言ったなら
どれぐらいの人が愛してくれるだろう。
私を必要として欲しい。私を抱きしめて欲しい。
これも1つの欲望なら、私の欲望は、きっと果てしなくある。
だけど、何かを変えたいなら自分から変わらなきゃいけないんだって
昔に母から教えられたっけ。

知ってしまったことは、知る前にはどうしたって戻れない。
言ってしまった言葉を取り返せないように、
過ぎ去った日々を取り戻す事は出来ないように。
他のことだったら、取り戻すことは出来るのに。
失った人の心は、同じように取り戻す事は出来ないの?

少し不安に思うときは、何でもいいから話してって友達が言ってた。
私は、どんなに哀しくても傷ついても
やっぱり幸せになりたい。

誰だって、誰かに大切にされたいと思うのは自然でしょう?

そして、優しくされたいと願ったり、心から愛されたいと思ったり。

そのために今の自分から何が出来るんだろう?って考えたりする。

私に出来ることと言えば、愛すること。美味しいご飯を作ること。

日常的にあるものは、きっとそれしかないのかもしれない。

だけど、それが何を生み出すのかなんて知らなかった。

本当は食事を作るのって、かなり悩まされていた。

掃除だって、私の得意分野じゃない。

家計を節約するのだって好きではないけれど、

家族が困ったり、何かあったときのことを考えると節約しなければいけないだけ。

もっと買い物もしたいし、ご飯は買ってきたもので間に合わしたい。

それをしなかったのは、家族を愛しているから。

私が出来ることをしてあげたい気持ちがあったから。

何よりも、それが思いやる気持ちや優しさだと信じて疑わなかったから。

食べられなかったご飯も、キレイになったバスルームも、いい匂いのする洗濯物も。

私は、今じゃ喜びにも、優しさの意味さえも感じられない。

誰かに優しさを注ぐというのは、誰かを甘やかすことになるのだろうか?

もし、私のこの悲しみを心から受け止めてくれるのなら

私は今にも泣きそうになったりなんかしないのに。