ナオは、覚えているかな。

私が、学校に行けなくなったとき。
当たり前のように、家に来て私の隣に座って、
いつものように、くだらない話をしていた。
なのに、何も訊かなかったんだ。
なにも。



ナオは、思い出せるかな。

私たち、エイプリルフールだからといって、
魚を焦がして、火事に見せかけたね。
煙を出して、火事だーって、大声で叫んだ。
本当に、馬鹿馬鹿しいことほど
私たちは、一生懸命になったよね。
お互い、いつも馬鹿にし合ってるくせに。



ナオは、知っていたかな。

一度も、私たちは誕生日に『おめでとう』って
云ったことがなかった。
誕生日を知っていたのにね。
そんなこと、いつでも云えると思ってた。
私たち、姉妹のように育ったから。
いつだって、云える。
そう、思ってたんだ。



ナオは、分かっているかな。

私は、あの頃より、独りぼっちじゃないよ。
あなたを思い出すとき、独りぼっちの私じゃないように。
いつか、あなたに会うときには、
この世界が、どんなに面白くて、どんなに楽しくて、
それに、どんな人たちに出会ったのか、
教えてあげるよ。
もちろん、タダじゃないけどね。





もう、心は疼いたりしないけれど。
あなたを思い出すときに、
ちょっとぐらいの涙が出ても、いいよね。
あなたは、世界にたった一人。
あたしも、世界にたった一人。
だれかも、世界にたった一人。

ああ、こんなにも私は
あなたに、会いたい。

この世界の、どこを探しても
決して見つからない、あなたに。



ナオ。
私を、まだ忘れないでいてくれますか。




卵の緒 (新潮文庫)/瀬尾 まいこ

¥420
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瀬尾まいこさんの本の中で、『卵の緒』 が
一番好きだ。
育生の母さん、君子さんがとっても素敵な人なのだ。

君子さんは、血の繋がっていない育生に、
「へその緒を見せて」、と云われたとき、
代わりに卵の殻を差し出した。
そして、こう云うんだ。

『あんなゴムチューブみたいなへその緒は、
 どこにだって売っているでしょ。
 断然、卵の殻のほうがいかしてる』

みたいなことをね。

断然、いかしているのは君子さんのほうだ。
証は物質じゃない、とも、ね。
そう、繋がりは目に見えたりなんかしない。

どうして、育生を育てることになったのか。
この理由を、知ったとき、
本当に、心がふるえた。
人は、こんなふうに誰かを愛せるのだ、と。
そして、こんなふうに愛してみたいものだ、と。
それは、男女間の愛を遥かに超えたものである。




こんなに素敵な人が、そばにいたら、
きっと、私は女をやめて男になる!!
それで、君子さんと育生と生きていきたい。
共に生きてみたい。






山下達郎さんの『KISSからはじまるミステリー』
を、聴いてると、

『♪キミがほしい
  キミがほしいっ♪』
と連呼したあげく、

『他にはなんにもいらないよ♪』
『♫失うものなどなにもない』

とか、散々聴かせるから、

ああああああああああああげちゃいます!!!!

と独りトキメく。
ほんと、どうしてくれんだ!!!