私が唯一、今でも嫌な奴だったなぁーと思う男がいる。

その男、びっくりするぐらい爽やかで営業スマイルが光るイイ人風。
ニカッと笑っては、みんなに優しいので評判が良かった。
しかし、私は男の装った感がどうしても気になり、
『アタシは、そんな笑顔ぐらいじゃ騙されませんからっ』と云っていた。
なんとなくだったから、特に何処が胡散臭いかと聞かれても解らなかった。
そんなある日、帰りの駅のホームで一緒になった。
普通に話していると、奥さんがいること、猫をたくさん飼っていることを聞いた。
私が、『お子さん、いるの?』と尋ねたら、彼はこう云った。
『あっ子供はねー。何回か出来ては、堕ろしてるんだ~猫みたいにいかないし、面倒だから。』
成るほど!!私は、彼の薄気味悪い軽薄さが嫌だったんだ!!
じゃぁ避妊すれば?と云ったら、それは納得がいかない行為らしい。
救いようのない人間に思えた。
確かに彼は周りに優しく、特段に害があるわけじゃなかった。
でも、どうしてだか私には人間味の無い人に見えた。
彼は結局、競馬で高額を当てアメリカへ遊びに行ってしまい、仕事は無断欠勤して辞めた。
世の中には、色んな人がいるよね?
私は、秒殺で泣けるほどの泣き虫である。
自分でも呆れるぐらい泣き虫。
昨日は、お友達のワンちゃんが亡くなった。
目が熱くなった彼女を見て、私までもらい泣きしそうで哀しみを飲み込んで。
彼女は、小さな頃恐くて近づけなかったそうだ。
昨日も忙しくて、朝は顔も見ずに出勤したらしい。
もしも、もっと早くに仲良くなれたなら。
もしも、顔を見て来てたなら。
沢山の『もしも』があって、後悔に溢れているようだった。
私にも『もしも』が沢山あった。
何かの存在を失わなければ、気づかなかったこと。
大きな心の痛みを抱えなければ、知らなかったこと。
生きていれば、その[もしも]は取り返しがつくけれど。
残された私たちに唯一出来ることがあるとするなら、その存在の想いを心に留めて生きて行くことしかないんじゃないのだろうか?
私にもし明日が来なかったら、私は大切な人の想いを抱き締めてあげていたかな?
大切な人に明日が無いとしたら、私は大切な人を大事にしてあげることが出来ているのかな?
もしも・・・という言葉は、やっぱり哀しみが詰まっている。
平等に明日は来たりしない。

失った存在を思い出す度に、私は泣き虫でいたい。
『英雄』という映画、観ました?
私は、イチオシの映画だと思うんですけど。
きっかけはね、ただ圧倒的な映像美で観たんだけど。
ストーリーが深くて、1回観ただけで内容が解るなら感性が鋭い!!
ジェット・リーの無名役に、私は感動して泣いてしまいました。
歴史に刻まれた英雄達ではない、世には知られない存在の中にも沢山のヒーローはいたんだなぁー。
命を投げ打ってでも、守りたいもの、未来へ繋げたいもの。
最後にそれを皇帝に預けるとき、黙して命を渡した。

今日、電車での帰り道。
沢山のサラリーマンの方々が乗っていらしゃってました。
くたびれた顔。
酔っ払った顔。
ヨレヨレになったスーツ。
ホームでタバコをポイ捨て。
ねぇ!!サラリーマンさん。
確かに、名を残すようなことはしてないかもしれない。
自慢できる何かは見つからないかもしれない。
だけど、あなた達の力が集まって、この社会は滞ることなく動いているんだよ!!
歴史に残るヒーローになんかならなくたっていいよ。
でも責めて、子供のヒーローになってあげてよ。
奥さんのヒーローになって。
大切な人達のためだけにでいいから。
頑張ってよ、サラリーマン!!
頑張れ!