観察者
その道を曲がると、
きいろのトレーナーを来たおとこのひとが 立っている
そのひとは
自宅のドアから
たてに4歩よこに10歩の庭しか持たず
意味 以前、なのか それは意味のコラージュなのか
ことばを操る ひとなのか
ことばに操られている ひとなのか 定かではないけれど
コミュニケーションから断絶した 音を、口から発し
こちらを、見ているのか なにも見ていないのか
その道を曲がると、
いつもの黄色いトレーナーで、おとこのひとが立っていた
夕闇の、
まっしろになる瞬間の中で
ただしずかに立って
5時を告げる鐘だけが
まっし ろに 反響していた
おとこのひとは
きちんと、私を見ていた
いつでも
その目を知らぬのは私の方で
ことば、を
知らぬのは私で
彼の庭は立体
私は観察者ではなく
そうかいつでも、彼に観察されていたのだ
物質はすべて、正常で異常
世界に観察されている