♬かあさんの あかぎれ痛い 生みそをすりこむ
根雪がとけりゃ もうすぐ春だで 畑が待ってるよ……♬
今日4月11日は67歳で他界した母親の命日だ。子も、大きな孫もいる81歳の今にして母親だけは“新鮮”で忘れることはない。
北国ではなく温暖な瀬戸内海の島の生れだが、当時の冬はつららが下がり、朝、厚い氷が張るのも、ひと冬に何度も雪が積もるのも当たり前、冷たさは今の北の地方に劣らず母親の手はアカギレだらけだった。素封家の三女で礼儀正しく元気な人だったが、父親の生家、しきたりにうるさい姑との同居で気遣いは半端なく、還暦を過ぎて心臓肥大がみつかり67歳、僕らには早すぎる死を桜満開の日に家人から電話で知らされた。
あの時から40数年、母親の年齢から14年も長生きさせてもらい、これ以上望むものなんてないけれど、もう一度でいい、あの声を聞き、あの手に触れてみたいなと………。