以下抜粋↓
そう言うパップフィッシュの子供に、お母さんはまた微笑み、
「心配しなくても平気よ」
と言った。
「こっちの世界とあっちの世界が同じ水で一つになる時、パップフィッシュは塩水の世界に淡水が入り込んで来ても、また順応できるようになるらしいの。ただね、その為には、今から少しずつその次元に意識を合わせて行かなきゃダメなのよ。いつまでもこのDevils Hole(悪魔の穴)に閉じ込められてちゃ、この先もずっと外界から隔離されたまま、外の世界とコンタクトも取れずに自分たちが『宇宙の中心』といった誤った考えの井の中の蛙で終わってしまう。この塩水での生活が心地よいと感じるパップフィッシュは、こっちの世界とあっちの世界が一つになった後も、この洞窟の奥に身を潜めて生きて行けばいい。でもね、お母さんは、次世代を担うあなたたちにはもっと広い世界に目を向けてほしいの」
そう言うお母さんに、パップフィッシュの子供は、
「・・・お母さんは?」
と訊いた。
「お母さんだって一目、この洞窟の外を見たいわよ。もっと色々な種類の魚にも会ってみたいし、こっちの塩水と向こうの淡水が混ざり合った次元で初めて姿が見えると言われている高い意識を持つ存在にも会いたい・・・いいえ、”再会したい”と言った方が正しいわね」
お母さんはそう言うと、パップフィッシュの子供に視線を向け、
「さ、その時のために、これからもいっぱい楽しいことをして、いっぱい笑って、いっぱい幸せを感じて、いっぱいワクワクして、自分たちの中の次元を上昇しておきましょうね」
と言って微笑んだ。すると、パップフィッシュの子供も、
「うん!」
と元気に答えてお母さんに体を寄せ、2匹は仲良く洞窟の奥へと泳いでいった。
抜粋以上^_^