アシナガバチと関係ないですが…
日頃疑問に思っていた「キイロスズメバチは、働き蜂が何匹位になると引っ越すか?」について、考察する機会がありましたのでご報告いたします。

越冬から目覚めたキイロスズメバチの女王は、初めは石垣の隙間や樹木の洞など、狭いところで隠れるように営巣していますが、働き蜂が増えると、巣材を加えて引っ越してくるのだそうです。これを二次営巣といいます。

私も若い頃に、この引っ越しの最中に駆除したことがありました。駆除したのに同じ場所に2度も作られて驚きました。

  

写真は7月28日に駆除依頼のあった直径20cmほどの小さな群れです。殺虫剤をかけてビニール袋に入れて持ち帰りました。

巣板を見て、一瞬「あれっ」と思いました。

 

   


巣はどれも新しく、働き蜂が生まれた形跡がないのです。なのに袋の中にはたくさんの働き蜂…

 

   

 最上部の最も古い巣。中央に有蓋蜂児が五つあるので、産卵からおそ

 らく二週間ちょっとの巣といえます。
 

   

         二段目の巣。まだ幼虫だけ。
 

   

       三段目の新しい巣。産卵はこれから。


すぐに、二次営巣群だと理解しましたので、それならばと引っ越した蜂が何匹いるか数えてみました。

 

   

 

働き蜂は83匹でした。それに女王蜂が一匹。
駆除時に巣の外壁に付いている蜂が3匹いましたから、合計で86匹。

 

 

          真ん中が女王蜂


ということで、この群れは86匹で引っ越ししたことがわかりました。と思いました。

しかし…
スズメバチの権威であった故松浦誠先生(三重大学生物資源学部)の本を読み返していたら、一次営巣群の巣でまだ羽化していなかった幼虫たちは羽化してから新しい巣に引っ越して合流すると書かれてありました。新旧二つの巣で営巣活動していると…

というわけで、駆除時もまだ古い巣での羽化は進んでいたかもしれません。残念ながら引っ越しした時の働き蜂の数はわかりませんでした。

ただ、二次営巣の巣作りは二週間ちょっとで20cmの大きさに至ること、20cmなのに働き蜂が86匹もいたこと、そして駆除依頼者さんが「巣は突然できた!」とよく言われる理由がわかりました。