スズメバチを菜園や果樹園に移住させることができたら、アシナガバチが狩らない害虫対策や、9月以降の害虫対策にもなります。スズメバチの権威松浦誠先生の本には、たとえばコガタスズメバチなら、マメコガネ、カメムシ、アメリカシロヒトリの毛虫、各種の蛾の幼虫など緑を食い荒らす害虫も好んで狩っていると書かれています。
ただ、スズメバチを移設するのは私でも難しく、これまで何回も失敗してきました。まして、一般の農家の人に普及させるのはかなりハードルが高いことです。考えても、考えても良策は思いつかず、もう無理だなとあきらめていました。
しかし、ついに蜂の神様がひらめきを下ろしてくれました。誰でも簡単にスズメバチを畑に移住する方法があったのです。実は、昨日UPしたブログに「駆除したアシナガバチの巣は捨てずに生かす!」を書きましたが、まさにその方法で良いのでした。
コガタスズメバチ。春に移設したものの、母蜂が戻らず放置していた巣から働き蜂が数匹生まれて巣の拡張を始めました。
私もそうですが、全国で駆除されるスズメバチは相当数です。その巣を捨てないで、畑に設置しておくだけで、また大家族に戻り狩りを始めるのです。
スズメバチの巣に殺虫剤を入れて駆除をすると、成虫は死にますが幼虫や蛹は死なずに済みます。すると、まもなく成虫がどんどん羽化し、巣を再建し始めるのです。女王がいないとわかると働蜂産卵を始めるので、そんなに時間をかけずにまた通常の群れに戻れるのです。ただし、交尾していないので生まれるのはオスだけですが、それまで女王蜂が産み落としてくれたメスの卵が羽化して死ぬまで一ヶ月以上は産卵し続けることになります。
ですから、8月や9月の大きな巣になればなるほど、大家族を移住させることになるのです。
9月のコガタスズメバチ
8月末のキイロスズメバチ
この生態については若い頃から熟知していたのに、殺さないで移住させることにばかりに執念を燃やしていましたので、繋がらなかったのです。おかげで昨日は嬉しい一日になりました。
では、実際にどんな感じで畑に移住させるかをシュミレーションしてみます。
1.スズメバチの巣はコガタスズメバチのように雨に強い巣もありますが、キイロスズメバチのように弱い巣もあります。予め大きな木箱を作っておきます。出入り口を塞げるようにすれば、他の畑にいつでも移動できます。
2.住宅に作られたスズメバチの巣を駆除します。一般の方ならスズメバチ駆除業者に相談すれば快くいただけるでしょう。
3.すぐに巣の一段と二段の隙間に棒を2本差し入れて、その棒を結束バンドで巣箱に固定します。
4.翌朝までに、畑に設置します。ただし、畑から10mほど離れた人の入らない場所に限ります。民家に接している畑では残念ながらクレームが来るのは避けられないでしょう。
蜂は基本的に巣に近づく人を襲ってくるので、畑で害虫を狩るスズメバチが農家を襲うことはありません。
このやり方で、今年は実践してみようと思っています。
モニタリングしていただいている一家農園(東根市)さんは、人里離れた場所に果樹園があります。杉林に隣接していますので、その中に設置できるそうなのです。
また、報告いたします。