昨日は、働きバチが10匹も生まれたキアシナガバチの今年最大の巣の駆除依頼があり、ありがたく捕獲しました。寄生蛾にもやられておらず、農園で働いてもらうにはとてもいい群れです。

 



しかし、これまでのように蜂だけを確保することは難しく、巣ごと外すことにしました。しかし、手応えでわかりましたが軸(巣柄)は外れてしまいました。大きな巣を1本の柱で支えているのですから、強力にくっつけてあるのです。どうしても軸が取れてしまう確率は高いです。

 

さて、いつものように針金で人工軸をつけようとしました。しかし、あいにく中央近くの巣穴は二代目の蛹(さなぎ)でふさがっていました。通常は写真のように針金にボッコを作って空の巣穴に刺して作るのです。



以前、小さな幼虫が入っていると気づかずに付けてしまったことがあり、つぶれた幼虫の体液が巣を濡らして破けてしまったこともありました。

 

人工軸の付け方はこちらを↓

 

そこで今度は、いつものように幼虫がまだ産み付けられていない両端に2本付けて支えようとしました。しかし、端から2列目はふさがっていて、空いている巣穴は1列目しかありません。ここは薄くて壊れてしまうのです。

 

日は暮れて暗くなりはじめ、久しぶりに頭はパニックになりました。残る手段は以前やった逆さ置き↓

 

しかし、この重たい巣を支えられる補強を待つのはそうとう時間がかかります。すると、ふっと閃きました。横に貫くことを。

 

 

キアシナガバチの巣はなで肩の巣です。ですから、中心部の巣穴はとても深くなっています。

 

この深い穴には理由があるのです。1匹目が蛹(さなぎ)になり巣穴に繭で蓋をするとその上に母蜂は産卵してしまうのです。初めて見たときは、間違って産んでると思ってしまいました。写真は別の巣ですが、中央にすでに大きな幼虫が3匹います。その下に蛹がいるのです。


 

下部の蛹が羽化する時は、幼虫を押しのけながら出てくるのだそうです。効率よく働きバチを増やすための習性なのでしょうね。

さて、確保した巣は、一匹目の蛹が羽化して2匹目が蛹になっている状態です。もしかしたら、ススメバチの巣のように一番奥深くは補強のために何層にも巣材が重ねられているのではと考えました。それに、ほんの少しは空間があるのではと思ったのです。

 

 

細い針金を使って、なるべく深く刺さらないよう上面すれすれを通してみました。そして、両端の2本をUの字にして割りばしで挟んだのです。

 

はたして、蜂に傷をつけずに通せたかは定かではありませんが、思ったよりも針金はしっかりと固定されました。人工軸の取り付けの一つの方法としては有りではないかと思っています。

 

 

また蜂の神様に閃きをもらった気がしました。

 

 

《追記》
ふと、巣の中がどうなっているか確かめてみたらいいんだと気づきました。なにしろ、捨てられずにストックしている巣はいくらでもあるのです(笑)

 

まずは、昨年大きな家族になった同じキアシナガバチの巣を切って断面を見てみました。

 

すると、けっこう巣穴は軸の根元まで奥深く作られていました。わずかしか隙間がありません。ちょっと落胆しましたが、もう一つ今度は少し小さな巣を割ってみました。
 


 

やはり、またギリギリまで巣穴はありました。
しかし! よく見ると二匹目の幼虫の糞の塊が中程にあることに気づきました。ようするに、一匹目はギリギリ奥深い場所で育ちますが、二匹目は一匹目よりも浅いところで育っていたのです。衛生的ですね。きっと巣を深く作ることで、幼虫は餌をもらいたくて奥深くに引っ込まなくなるのでしょう。キアシナガバチの巣がなで肩で深い巣穴になる理由はこれですね。

もう一度大きな巣のほうもよく見てみました。




やはりこちらも、確認できるところはだいたい二カ所に糞の塊が付いていました。中心は4カ所も確認できます。一つの巣穴から合計2〜4匹生まれたことになります。

 

ということで、昨日の巣は幼虫を傷めることなく針金を通せていたことがわかり、ほっとしました。そして、この人工軸のつけ方は、働きバチが生まれてからの季節には有効だということを改めて確認できました。

 

他の種の蜂の巣も、また改めて確認してみようと思います。

メデタシ,メデタシな出来事でした。
 

 

アシナガバチを畑に移住させる方法↓

《重要》
アシナガバチの移設は、200m以上離れた場所に行ってください。元の記憶が勝って巣に戻れなくなり、かわいそうなことになってしまいます。同じ敷地内に移動させたい場合は、1日30〜50cmずつ移動させます。


移設巣箱の作り方↓

 

 

作れない方に移設巣箱をキットを販売しています↓