この活動を始めて一番質問されることが
「移住させたアシナガバチに農家の人は刺されないの?」
です。

 

 

私にとっては、まったく怖い存在ではありませんが、一般の人にとっては脅威な存在なことを改めて実感しております。

答えは「めったに刺されません」です。
ただ、「近づかず、触らず」の前提付きですが。
 

養蜂家は、花粉交配目的で果樹園にミツバチを貸しますが、農家の人はめったに刺されません。アシナガバチはそのミツバチよりも温厚な蜂です。
 

せっかくですので、蜂が怖くなくなる話を書きます。
 

人を襲う蜂は、たった3種類しかいないことをご存知ですか。

 

スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチだけです。この3種類は、巣に近づく悪者が来た時に、家族を守るために先制攻撃をするのです。

 

怖いのはスズメバチで、家族が増える9〜10月は、10m離れていても襲ってくる場合があります。

 

          10月のキイロスズメバチの巣

 

温厚に思われているセイヨウミツバチは、天気が悪い日は機嫌が悪く、5〜10mほど離れていても刺してくる場合があります。一番温厚なのがアシナガバチです。1mまで近づいても、体を震わせて威嚇はしますが、めったに襲ってきません。その威嚇すら、よく見ていると体を持ち上げ前足を開いたり閉じたりして「来ないで、来ないで」と言っているように私には思えてしまいます(笑)

 

しかし、この3種類といえども巣以外の場所で人を襲うことはありません。お花畑で蜜を集めるミツバチも、畑でイモムシを捕まえるアシナガバチも、大きな虫を探して飛んできたスズメバチも人を刺しません。そこに守るべき家族がいないからです。養蜂では、巣箱にミツバチを狩りに来るキイロスズメバチを、捕虫網で捕まえる仕事があります。その時に養蜂家を刺すのはミツバチです(笑)

 

(厳密に言うと、オオスズメバチだけは、樹液の出ている昆虫酒場では襲ってくる場合があります。この餌場はオオスズメバチが幹に傷をつけて作っている場合が多いらしく、管理しているのです。試しに木の根元を蹴って揺らしたら確かに襲ってきました)


ちなみに、なぜ他の蜂は刺さないかというと、家族を持っていないからです。守るべき子供は自分のおなかにある卵なので戦わずに逃げます。安全な産卵場所に、餌を運び、卵を産み、ふたをすればサヨナラする習性なのです。

 

       パイプに産卵しにやってくるオオハキリバチ
       体が大きいのでスズメバチと間違えられますが

       どんなに近づいても刺しません。

 

巣の近くでなければ、どんな蜂も恐れる必要はまったくないということです。

 

人がアシナガバチに刺されるのは、気づかずに蜂に触ってしまったり、巣にぶつかったりした時です。巣がそこにあるとわかっていれば近づかずに刺されないのです。どうしても巣の近くを歩かなければならない時は、ゆっくり静かに歩けば大丈夫です。相当な近距離でなければ襲ってきません。蜂は早い動きに反応するのです。

 

さらにアシナガバチは、場所によりますが、9月にもなればもう攻撃意欲もなくなります。近づいても威嚇すらしません。巣に近づいた人を襲うのは、子育てをしている間だけなのです。目安は巣の下にいるか上にいるかです。下にいる時は、子育て中です。みんな上にいるなら、もう子育ては終わっていますので安心です。次の写真は網もかぶらず10センチ前で撮影した写真です。

 



ですから、畑に移住させたアシナガバチも、7〜8月のみ巣に近づかなければ、まったく心配する必要はないのです。

 

ただ、知らない人が畑に入ってくる可能性もあります。ロープで囲って看板を立て注意を促すのがいいでしょう。

また、蜂が嫌がる作業が草刈りです。これは3種類の蜂に共通します。寒い早朝にさっとやるのがオススメです。また夜にやる場合は、懐中伝統に赤いセロハンを貼って照らせば大丈夫です。虫たちは赤い光が見えないのだそうです。LEDライトなら完璧です。私のスズメバチ駆除の時の必携アイテムです。

 

ですから、どうぞ、安心して畑に移住させてください。

ただ、スズメバチのように、アシナガバチに刺されてアナフィラキシーショックを起こして亡くなった方もいらっしゃいます。絶対安全はありませんので、捕獲する人も農家の人も理解の上行ってください。

 

 

→ 誰でもできる! アシナガバチを畑に移住させる方法

 

〜お知らせ〜
アシナガバチ移住方法の講演・実地指導をいたしております!
駆除されるアシナガバチを保護して無農薬菜園に移住させる詳細な方法について、団体等にうかがって講演をいたします。あらかじめ巣を見つけておいていただければ、実際に木箱に巣を移設させる技もお見せできます。実地研修は7月末まで。働き蜂が生まれている群れでも移設できます。詳しくはメッセージでお問い合わせください。

 

講演予定
4/21  庄内オーガニックマルシェ(山形県鶴岡市)参加可