「明日お邪魔すると言ったんですが、たまたま近くまで来たので立ち寄らせていただきました」
高橋はインターホン越しにそう答えた。
私にとっては救いの神とでも言うべきか、
浅はかだった私の考えで、追い込まれた窮地。
こうなったらさっさとあのスイッチの正体を暴き、
すっきりしたい所である。
「今、開けます」
やっとスイッチの謎が分かると思うせいか、私は小走りで玄関へと向かっていた。
ドアを開けると、スーツ姿の若い男が立っていた。
「すいません突然」
「いえいえ、さっそく見てください」
「では、失礼します」
高橋は丁寧に靴を揃えると、問題の寝室へと向かっていった。
寝室へ着き、妻への挨拶も軽くすませると、高橋はさっそくスイッチの確認をする。
私は今か今かと高橋の第一声を待ち望んでいた。
「これ・・・・」
ただのいたずらか?それとも電気関係のスイッチ?それとも・・・・・
「先に申し上げますが、このボタン、私共が付けたものではないです」
大方予想通りである。
ならばやはりいたずら?
次第に体の力が抜け、落ち込んでいく自分の様子がはっきりと認識できた。
「おかしいな・・・・」
「?・・・おかしい?」
一体なにがおかしいと言うのだろうか
高橋は黙りこんだまま、一向に口を開こうとしない。
その様子に痺れをきらしてか、妻が先に口を開いた。
「なんでもいいので早く取り外してくれませんか?なんか気味悪いんですよ」
威勢よく飛び出た妻の言葉は、黙り込む高橋を一瞬たじろがせた。
「あ、いえ・・・・実はこれ・・・・一度撤去したはずなんです」
おびえるように、高橋はそう言葉を漏らした。
つづく