こんにちは。エンジニアのかねひらです。
今回は、NSR250R MC28のガソリンコックのお話です音譜
長年乗られている方には少し退屈な内容かもしれませんが、
最近NSR乗り始めた方や、これから乗りたいと思っている方にも
分かりやすいような内容にしていますのでぜひお付き合いください!

 

ガソリンコック(フューエルコック)は地味な部品ではありますが、ガソリンの供給を管理する重要部品
実はこの部品、なかなか面白い構造をしています☝️
トラブルは起きやすいのに、中身を見たことがある人は少ない」
そんな部品の代表格かもしれません。

 

 

NSRのガソリンコックは非分解構造

 

それではまず、私の愛車のガソリンコック(15年物)を見てみましょう。

 

ガソリン漏れのため新品に交換した15年前からトラブルなく使用していましたが、フィルター部品はパキパキに固くなって、黒い汚れも付着しちゃってますあせる
さすがに15年も使用していたので劣化するのは仕方ないですねガーンあせる
ボディやパイプ部は金属製なので劣化はなくまだまだ使えそうですが、中身は開けてみないとわかりません。

 

ちなみにMC28のガソリンコックは、

  • アルミダイキャスト(ダイカスト)製のボディ

  • 鉄製のフタ

この2つが、カシメ(ピンなどを変形させて固定する工法)で固定されていて、簡単に開けることができませんあせる

 

 

つまり、メーカー仕様としては非分解部品ということになります。

そのため、

  • 分解整備が前提になっていない

  • 中の構造を見たことがある人は少ない(?)

という部品になっています。

 

パッキンは、確実に劣化します

非分解部品とはいえ、
パッキン部品は消耗品と考えるのが当然だと思います。

特に問題になりやすいのが、

  • フタ部シール用のパッキン

  • 回転軸部のパッキン

  • 燃料に常に触れている内部のゴムパッキン

このあたりです。

年式を考えると、
すでに硬化していたり、痩せていたりする個体も多いのが実情で、ガソリン漏れの原因になりやすい部品ですあせるあせる
でも、分解できないし、パッキン単体では供給されないしということで、
不具合が出ると基本的にはASSY交換(ユニット単位での交換)になってしまいますガーン

 

 

フィルターも劣化しますが、単品ではもう買えません

 
 

もう一つ地味に困るのが「フューエルストレーナースクリーン」。
ガソリンコックのフィルター部品です。
 
この部品、そもそもが少しネジられた状態取り付けられるため、
変形しやすいんですよね。(写真左)
理由は、フィルターが取り付くボディのセンターと、
真鍮パイプのセンターの位置がオフセット(写真中央)しているからで、
これはガソリンが通る穴(写真右)があるため構造上オフセットせざるを得ないという設計上の問題ですね😧

 

 

 

中古品は某オークションでよく出回っているので入手可能ですが、酷いものだと経年劣化で樹脂が割れていたり、メッシュに破れや目詰まりが発生したりしている個体も多くあります💦

 

ですが、こちらも現在は廃盤で単品での新品購入が困難な状況。
結果として、

  • ASSY部品で購入

  • 価格は年々上昇

という流れになっています。
「フィルターだけ欲しいんだけどな…」
と思ったことがある人、結構いるんじゃないでしょうか?🤔

 

分解したガソリンコックの中身

 
では実際にガソリンコックを分解してみましょう。
 
まずはレバーを外しますが・・・
ネジがレバーの奥の方にあるので、軸部が10cmくらいある長いドライバーが必要になります。
ネジもネジロック材が塗ってあるのでちょっと固めです😥
 

次に2ヵ所のカシメをドリルで削って飛ばします。
万力でしっかり固定して、6mmのドリルで削りました。

 

 

これでフタをこじると開きますが・・・
おっ!思ってたより綺麗かも🥹👏

中には流路切り替え用のボールが入ってますね。

 

これはそのまま使えるか?と思ったのも束の間、
パッキンを見ると、あちこちにひび割れが💦
触った感じも硬いですねーガーンガーンコリャダメダ

 

外そうと思って触ったら砕けました🙄w
単品販売はされてないのでOリングで代用するしかないですね。

 

 

そしてこの奥の穴の周囲にある黒い部分2つがボールと接触してガソリンを止めてるパッキンです。

 

 

これはどうかなーとツンツンしてたら・・・

 

ガーン(―_―)!!昇天
カシメで固定されてるはずの中のプレートが取れちゃいました💦

でもおかげで中のパッキンが見やすくなった😂😂
パッキンは丸いのが2個入ってるのかと思ったら繋がってたんですね。
しかもOリングではなくて板状のパッキンのようです。
ここのパッキンも交換したいところですが、ここも単品入手は出来ませんので、そのまま使うか、代替品を探すか、丸ごと交換という選択肢になります。

 

 

あとはこの変な形の部品ですが、
バネが入っていて、そこにボールも入るようになっています。

 

 

レバーを回すとこの部品も回転し、ボールが塞ぐ穴を切り替えるという感じです。
ここの軸にはパッキンとしてXリング(断面がXの形をしているOリング)が2個使われていますね。

 

 

ここはまだ弾力が残っていて、そのまま使えそうでした。
ここも外そうと思いましたが、かなり引っ張らないと抜けそうになく、ちぎれそうなので怖くて断念💦

 

レバー位置で、ガソリンの流れはこう変わります

 

さて、中身はチェックできましたので、

次は、ガソリンコックのレバー位置による燃料経路の違いをみてみましょう。
レバーを「OFF」「ON」「RES」にしたとき、
それぞれどういう経路でガソリンが流れているのでしょうか?
「なんとなく使ってるけど、実はちゃんと知らない」
そんな部分を、分かりやすくまとめます。

構造としては上の写真にもあるように、ボディの中にボールが入っていて、
そのボールがボディに開けられた3つの穴のどれかを塞ぐことで
ガソリンの流れを制御しています。
イラストを使って説明していきます。

 

まず、レバーが「OFF」の場合、

ボール(赤丸)が②の穴を塞ぎます。
②はキャブレターへ繋がる穴で、ここを塞ぐことでコック内はガソリンで満たされていますが、キャブレターへのガソリン供給が止まります。
そのためエンジンはガス欠状態になり掛かりません。

 

次に、ガソリンが十分にあり、レバーが「ON」の場合、

 

ボールは①の穴を塞いでいて、
ガソリンは真鍮パイプの上部から入り、②の穴を通ってキャブレターへ送られます。
これが通常時ですね。
 
次は、レバーが「ON」でガソリンが真鍮パイプ上面まで減った場合です。
 
この場合、真鍮パイプからはガソリンが入らなくなり、
①   の穴も塞がれているためタンク内にガソリンは残っていますが、
コック内は空になりキャブレターへの供給も止まってしまいます。
 
最後に、レバーが「RES」の場合、
 
RES=Reserve(リザーブ)の略で、予備タンクのことですね。
RESでは③の穴を塞ぎますが、③の穴はただ凹みがあるだけのブランク穴でどこにも繋がっていません。
この場合、①の穴からコック内に入って、②の穴からキャブレターへ流れます。
この状態になったら早めにガソリンを給油しましょうニコニコ
 
以上がガソリンコックの仕組みでしたが、どうだったでしょうか?
同じタンク内なのにメインタンクと予備タンクを切り替えるってなかなか面白い発想ですよね💡
今では当たり前のようなことでも初めて考えた人の創造力はすごいなと心から尊敬します。
私もいちエンジニアとして後世にまで残るような構造や機構を考えたいものですニヤリ炎炎
 
ガソリンコックについてはまだ続きがありますが、今回はここまで!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
 

 

次回について

 

次回は、

  • 分解図を使った各部品の詳しい解説

  • 3Dデータ作成の様子

  • 将来的に再現できそうな部品、難しそうな部品

このあたりを、もう一段踏み込んで書く予定です。
NSRをこれからも安心して乗り続けたい人にとって、
少しでも役立つ内容にしていきます。
それでは、また次回もよろしくお願いします!