こんにちは、A-sideのエンジニアかねひらです。
GWも終わり、早くも夏の兆しが垣間見える今日この頃。
暖かくなってきて、日も長くなってきたのでバイクいじりする人には最高な季節ですね!🌞

 

さて、これまでエンジン周辺部品やブレーキ関連などを解析してきましたが、今回は車体側の部品として、NSR250R MC28のシートレールを3D化していきます。

 

 

 

 

ぱっと見た印象としては、
「パイプを溶接しただけのシンプルな構造」
に見えます。
ところが実際に3Dスキャンして3D化していくと、
予想以上に手間の掛かった構造であることが分かりました💡
今回も、実際に作業しながら気づいたことをご紹介します😊

 

 

 

 

◇まずは3Dスキャン準備から

 

 

まず最初に行うのが、スキャンの前処理です。
シルバー塗装は光の反射によってスキャン精度が落ちるため、表面に専用のスキャニングスプレーを塗布します。

 

今回使用したのはこちら。
イチネンケミカルズ 三次元測定用反射防止スプレー

 

 

 

実際に使用してみた感想ですが、正直なところ、かなり気になる点がありました。

 

 

 

◇想像以上に後処理が大変…

 

 

スキャニングスプレーは白い粉状の反射防止剤を
対象物にスプレー塗布するものですが、この製品はいろいろと残念なところがありました💦

 

第2回のブログで紹介した「AESUBバイオレット」と比較しての感想ですが、この製品はスプレー時にかなり粉が飛び散ります。
有害物質が含まれているため吸入すると良くないのですが、かなり粉が舞ってしまうので防塵マスクは必須です。
対象物に近づけてスプレーすれば飛散は多少マシになりますが、近づいた分、均一に塗るのが難しく、塗膜が厚くなりムラが出来やすくなるのが難点😥

 

さらに測定後、この粉を落とす作業がかなり大変でした💦
布で拭っても拭き残しがかなり出るので、布を洗っては拭いて、洗っては拭いてを3回くらい繰り返さないとキレイに落ちませんでした。
それだけやっても細かな隙間や溶接部などに白い粉が残ります。
また、水洗い+ブラシで洗浄もしてみましたが、最初は綺麗に落ちたと思っても、水分が乾いたら白い粉があちこち残っていました。

 

特に今回のシートレールのように、

  • 溶接部が多い

  • 形状が複雑

  • 隙間が多い

という部品とは相性があまり良くないようです。
洗ったつもりでも、
「こんなところにも残ってる…」
という感じで、あとから白い粉が出てきます😣

 

 

 

 

◇改めて感じたAESUBの便利さ

 

 

先述した「AESUBバイオレット」と比較すると、その差はかなり大きいと感じました。
AESUBバイオレットは、

  • スプレー飛散が少ない

  • 均一に塗布しやすい

  • 使用後は自然に昇華

  • 洗浄不要

という特徴があります。
特に最後の「自然に消える」は本当に大きいです☝️
後処理時間がほぼゼロになるので、作業の快適さが全く違います✨
スキャン性能だけではなく、トータルの作業時間で考えると、かなり差が出ると感じました。
比較するとこんな印象です。

 

 

 

今回の作業で改めて、道具選びは大事だと実感しました👑
Time is money です。🙂‍↕️
多少高くても作業時間が大幅に短縮できるので、作業時間も人件費が掛かっていると考えれば、結果としてかなりコストダウンできると考えられますし、短縮した時間で他の作業をすることも可能です。
ぜひ私みたいにケチって無駄な時間を過ごさないようにしてください🫠

 

 

◇スキャンして見えてきた、意外な構造

 
 

シートレールは最初、
「比較的楽な部品かな」
と思っていました。
しかしスキャンして細かく見ていくと、意外と複雑で予想外の作り方が見えてきました。
基本構造は、

  • 丸パイプ

  • 角パイプ

  • 板金ブラケット

  • 棒材

を組み合わせた溶接構造です。
ですが面白かったのは接合部でした。

 

 

 

 

角パイプと丸パイプの接続部分を見ると、角パイプの先端が潰されています。
しかも単純に平たくしているだけではありません。
丸パイプの外径に合わせてラウンドに変形加工され、その後溶接されています。
初めて見た時は、
「斜めにカットして溶接してるんじゃないのか!」
と少し驚きました。
他にも丸パイプを潰して、そこに板ナットを溶接してるなど面白い作り方をしています☝️

 

 

 

 

何となく見ているだけじゃ気付けない部分です。
実物を3D化するからこそ見える発見でした😊

 

 

◇CAD化は想像以上に苦戦

 

 

ここからが本番です。
シートレールは見た目こそシンプルですが、CADで再現しようとすると難易度が一気に上がりました。
理由は単純で、
「ほぼ全部が微妙に複雑」
だからです。
例えば、

  • パイプの絶妙な角度の曲げ

  • パイプの潰し加工形状

  • 板金ブラケット形状が複雑

  • 溶接個所が多数

  • 左右で微妙に形が違う

 

 

 

溶接部品が多いので、製造工程もかなり手間が掛かっていたと思います。
 
ということで、そんなややこしい形状をコツコツ作っていきます💪

 

 

 

 

 

こういう左右対称形状の部品は片側作ってから、ミラーコピーして作成します。

 

 

 

そして、非対称部分の形状を追加で作成していき、
何とかこんな感じで3Dデータ化できました。

 

 

 

 

◇簡単そうに見える部品でもよく考えられている

 

 

今回改めて感じたのは、
「簡単そうに見える部品でも、設計意図が満載」
ということでした💡


設計とは単に形を作るだけではなく、作り方やコストも考えて、最適化していくことです。
その部品がどんな役割を持っていて、どんな使われ方をするのか。
形は出来ても、それを現実に組立てられなかったら意味がありませんので、
設計者は材料や加工方法の知識はもちろんのこと、
それをどうやって組み立てるかなど製造工程のことも考慮しないといけません。
シートレールは単純そうに見える部品ですが、
分解して3D化すると一つ一つの形状に意味があり、
当時の設計者が知恵と知識を全力で注ぎ込んだ結果、
このシンプルに見える形状に行きついたのだと、
勝手に想像し、感心しています✨
こういう発見があるのも、このプロジェクトの面白いところです😊☝️

 

以上、今回はシートレールについてでした。
次回もまた、分解・測定・3D化を進めながら、NSRの隠れた工夫を探っていきたいと思います。

 

 

◇次回予告

 

 

次回は、さらに別の部品の3D化・構造解析へ進みます。
見た目だけでは分からない、NSRの設計思想を深掘りしていきます。