こんにちは。

ブラック無糖派エンジニアのかねひらです。

寝る前のホットコーヒーが欠かせません☕

 

さて今回も、前回に引き続きガソリンコックについてです。
分解図をベースにもう一段踏み込んだ話をしていきます。

前回は「中がどうなっているか」「燃料がどう流れるか」を中心に見てきましたが、
今回はもう少し設計目線で、

  • 各部品がどういう役割を持っているのか
  • 3Dデータ作成の様子
  • 将来的に再現できそうな部品、正直難しそうな部品

このあたりを整理していきます。

 

分解写真で見る、各部品の役割と材質

 

まず下の写真が前回分解したガソリンコックです。
数えてみると小さい割に部品数は全部で部品と意外と多いですね。
それでは構成している部品を一つずつ見ていきましょう。

 

 

ストレーナースクリーン

 

 

異物除去用のフィルター部品です。
材質はフィルターによく使われるナイロンのメッシュに、円筒部は柔軟性があるのでナイロンかポリプロピレンでしょうか🤔
メッシュと円筒部は一体で成形されていますね。


② ゴムカラー

 

 

ストレーナーと真鍮パイプを固定しているゴム製のカラーです。
材質は耐ガソリン性のある一般的なNBRというゴムだと思います。
この部品がないと最悪ストレーナーが抜けてタンク内で泳いでしまいます。
取付けは真鍮パイプの先端当たりにこの部品が来るようにしましょう。
根元付近にあるとリザーブ用の穴への流路が塞がれ、リザーブへ切替え時にガソリンが流れない可能性があります☝️

 

③   Oリング

 

 

タンク側のネジとコック側のボディ間のシール用です。材質は同じくNBR。
この部品が劣化しているとコック根元のナット部からガソリンが漏れてきます。
なので、このOリングは定期的に交換することをオススメします🙂‍↕️💡

 

④   真鍮パイプ

 

 

前回説明したように、この部品がメインタンクとリザーブタンクに分ける役割を担っています。また、真鍮パイプの長さでリザーブの容量が決まります。
この部品はアルミボディに圧入or接着で固定されています。

 

⑤   ナット

 

 

タンク側のネジとコック側のボディを締結している鉄製のナットです。
ナットはボディ部品にカシメられています(固定はされずフリーな状態)

 

⑥   ボディ

 

 

流路を分岐させているメインのボディ部品です。
アルミダイカスト(ダイキャスト)製で、材質は一般的なダイカスト用のアルミ材「ADC12」だと思います。
ダイカストとは溶かした金属を高速・高圧で金型に注入する工法のことです。
鋳造(ちゅうぞう)と混同されがちですが、鋳造は流し入れるだけで圧力はかけません。エンジンブロックなど砂型を使って作られるものは鋳造ですね😊

 

⑦   パッキン

 

 

ボールと接触し、流路を塞いでいるシール部品です。
他のシール部品と同じく材質はNBRだと思います。
特殊形状のため代替部品を探すのは困難😥Oリングで代用も出来るかもしれませんが、この部品の断面形状が四角のため、適当にOリングを選定してしまうとボールとの適切な接触圧が確保できずシール不良になる可能性があります。

 

⑧   インナープレート

 

 

⑦のパッキンを押さえる目的と、ブランク穴の球受けを兼ねてます。
材質はステンレスで、磁性がないのでSUS304だと思います。
ボディにカシメ固定されています。

 

⑨   ボール

 

 

流路を塞ぐ鋼球で、サイズは実寸で直径9.54mmでした。
材質はベアリングの球などでも使われるSUJ2と予想します。
ちなみにパチンコ玉は直径11mmなので代用はできません😂(笑)

 

⑩   コイルバネ

 

 

ボールをパッキンに押さえつけるバネです。材質はSWP-Bとかでしょうか。
このバネの強さでレバーの切り替え重さや、切替え時のクリック感の強さも変わってきます。
ここは錆びてなければ使い回しで問題ありません💡

 

⑪   切替え軸

 

 

流路を切り替えるための軸部品です。この部品でボールの位置を動かし塞ぐ穴を切り替えています。ボディと同じくアルミダイカスト製ですね。

 

⑫   Xリング

 

Xリングは前回も説明したように断面がXの形をしたリング状のシール部品です。材質はNBR 。4カ所のリップでシール性が高く、Oリングより圧縮量を減らせるため、低摩擦で耐久性が高いという特徴があります。
回転部などの摺動部に適しています。
このガソリンコックでは2個使いにして更にシール性を高めています。

 

⑬   樹脂ワッシャー

 

 

切替え軸とフタとの間に取り付けられ、摺動を補助するワッシャーです。
材質は摩擦係数の低い、テフロン(PTFE)かポリアセタール(POM)あたりではないでしょうか。

 

⑭   ガスケット

 

 

ボディとフタのシールをしているガスケットです。
形状は専用設計で、材質はNBR。劣化しやすい部品なので分解した際には交換必須。太さと周長が同じであればOリングで代用可🙆‍♀️

 

⑮   フタ

 

 

鉄製の板金に鉄製パイプが溶接されている部品。ボディと軸部をシールする役目があるため、ガスケットと接触する板の内側と、Xリングが摺動する円筒部の内径は磨いて凹凸がないようにしておくとガソリン漏れのリスクを低減できます💡

 

⑯   レバー

 

 

「ON」「OFF」「RES」の切り替えレバー。
材質はポリプロピレン(PP)で、切替え軸にネジ止めされます。
経年劣化で白くなってくるので、よくある樹脂復活剤的なやつを塗っておくとキレイな状態を保てます📝

 

⑰   固定ネジ

 

 

段付きの特殊ネジです。鉄製で黒色の三価クロメート処理がされてます。
段付きネジは締め付け量が高さで決まるため、締めすぎて相手部品を潰したくない場合、パッキンなどの潰し量を一定にしたい場合、相手部品と隙間を設けて動くようにしたい場合によく用いられます。
ネジ部にはレバー操作や振動で緩まないようにネジロック材が塗られています。

 

以上が各部品の説明です。

 

当然ですが、それぞれに「大事な役割」がありますね!
どんな小さな部品でも無駄な部品はなく、ちゃんと意味を持っています。
これをまだ3D-CADの歴史が浅いウン十年前に設計したケーヒン(現Astemo)さんには頭が下がります🥹

 

3Dが出来上がっていく様子

 

続いては、3Dデータについてです。
各部品をノギス等で細かく測定した後、その測定データを元に3Dデータを作成しました。
下図は作成した3Dデータの分解図です。

 

 

本当は全ての部品を紹介したいところですが、膨大な量になってしまいますので、ここでは一番複雑なボディ部品の作成の様子を紹介します。
 

動画にしましたのでぜひご覧ください。(早送り編集)

 

 



 

どうでしたでしょうか?
何もないところから形状が出来上がっていく様子はワクワクしませんか?
3D-CADを使えば自由に形を作ることができますよ😊💡
いまは「Autodesk Fusion(Fusion360)」という無料で使える3D-CADもありますし、興味ある方はぜひチャレンジしてみてください!

 

 

将来的に再現できそうな部品、正直難しそうな部品

 

ここからは、
設計・製作目線で見たときの現実的な話です。
ほとんどの部品は再生可能ですが、純正品を再現できるかというと、やはり難しい部品もあります。
特に見合ったコストで製作できるかというのが一番の問題です。
純正品を再現できてもバカ高くなってしまっては意味がありません🙂‍↕️
適正な価格で提供できるかも大きな課題です。

 

〇再現できそうな部品
比較的可能性があるのは、

  • 板金部品

  • シールパッキン類

  • バネ、ワッシャー

このあたりは純正と同じ材料で、
機能を満たした純正同等品として成立する可能性があります。

 

〇正直、難しそうな部品
一方で難易度が高いのが、

  • ストレーナースクリーン

  • アルミダイカストのボディ、切替え軸

このあたりです。

 

ストレーナーはメッシュと一体成形(インサート成形)する特殊な工法のため、高くなる可能性があります。また、アルミダイカストも一般的な樹脂の射出成形に比べ金型費が高く、バリ取りなどの後処理や、精度が必要な面を切削加工する工程が必要になるため、作ったとしても1つ数万円するものになるでしょう😧

 

このように金型コストや生産数を考えると、小ロットではかなりハードルが高いのが現実です。
これらの部品については、完全に純正品に合わせるのではなく、
純正品と置き換え可能な部品として、材質や形状を最適化したオリジナルパーツを提供する方が現実的と考えています💡☝️

 

 

なぜ、ここまでガソリンコックを見るのか

 

・非分解なのにわざわざメンテなんかしなくても・・・
・新品が手に入るんだし交換すればいいんじゃないの?
・メーカーが推奨してないことしたら危険なのでは?
そんな意見をお持ちの方もきっといるでしょう。

 

ですが!
新品のASSY部品もいつまで供給されるかわかりません😟
それに、何でもかんでも新品に交換していては費用もバカにならないし、
値段がどんどん高騰して、在庫もすぐになくなってしまいます💦

 

そしてこの先何年後かには供給が途絶え、維持することすら難しくなってくるでしょう。。。
そうなるとNSRが公道を走っているのを見れなくなるかもしれません😱
だからこそ、使える部品は極力残し、劣化した部品だけを交換する。
これこそ旧車メンテナンスの在り方ではないでしょうか?

 

内部構造や材質をしっかり把握することで、
「安全かつ適切な値段で高品質な部品を提供する」
今後の部品再生や代替部品を考える上でもそこは重要だと考えています。

 

NSRに限らず、2ストロークやキャブレターという先人の知恵が詰まった素晴らしい技術をこのまま廃れさせてしまうのは非常に惜しいです😣😣
私たちはそんな不安を払拭し、この素晴らしい技術を未来へ継承していきたいのです!❤️‍🔥
それが私たちの目指すプロジェクト「Revival」です💡

 

まずは部品の3Dデータ化を優先して進めていますが、その先には出来るだけ早い段階で部品販売をできることを目指していますので応援よろしくお願いします!

長々と書きましたが、ガソリンコック編は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

次回予告

 

次回は、私たちA-sideの自己紹介をちょっとさせて頂こうかと思います。
 
「こいつら急にNSRのプロジェクト立ち上げとるけど、一体何者やねん」
って思ってる方がほとんどでしょう。
・・・ん?そもそもお前らに興味ないって?
まぁそんなこと言わずに見ていってくださいよー😫
 
私たちが普段どんなことをしているのか、
広報担当のなかたがお届けしますので、次回もぜひお付き合いください