フィンランドには「自然享受権」というものが存在します。
フィンランドは、首都のヘルシンキでも街中に森があったりする、森と湖の国。
それら自然を独り占めしてはいけない。
一部の立入禁止エリアを除き、国民や観光客は森に自由に出入りできる
という法律なのです。
たとえば…
「ねえねえ、なんかいい感じの森見つけたんだけど、週末に行ってみない〜」
「いいわねー。行きましょ。森でマッカラ(フィンランドのフランクフルトソーセージみたいなやつ)焼いて食べましょ」
「オッケー。じゃ、アタシはベリーのジュース持ってくわね〜」
みたいな週末の計画が、森の所有者抜きで成立するってことです。
すごくないですか??
これを知ったとき、私はめっちゃ衝撃を受けました
こんなおおらかな国が存在するのか、と。
が…
私が子供の頃は、セミや蝶々を追いかけて他人様のお宅のお庭に侵入することなんて、日常茶飯事でした。
それを、その家の人は快く受け入れ、何ならジュースやお菓子をもらったことも。
まあ、昔に比べて物騒な事件が増えたせいもあるかもしれませんが、「自分のもの」と「他人のもの」の境界をきっちり分けたがりすぎるというか、みんなでその空間をシェアして楽しむ緩やかさが失われたというか、そんな気がしています。
これ、私の実家の真ん前。
市のコミュニティバスのバス停があります。
その後ろは、いかにもバス停の待合のように見えますが、うちの私有地です。
以前は自販機が2台並んでいましたが、数年前に撤去してしまいました。
この辺りが、うちの塾に通う子どもたちと送迎の保護者の待合わせ場所になるのですが、日が落ちるのが早くなったこの頃、街灯もなく自販機もなくなってしまったこの場所はあまりに真っ暗で、子どもをひとりで待たせるには心配しかない場所です。
(そこそこ車も通るしね)
そんなわけで、この自販機コーナーのテントを撤去して、小さな待合小屋を作ることにしました。
ただし場所が場所なので、うちの生徒たちをお客さんだと思って、コミュニティバスの運転手さんがいちいち止まってしまうと申し訳ないなぁ。
そう思って、市の担当課に行って、ここに待合小屋を作っていいかどうか聞いてみました。
担当の方いわく、
「こちらとしては、バス停が運転手から確認できる状況であれば全然問題ないのですが…、むしろ、バスを利用される方がきっとその小屋を使ってしまうだろうと思いまして…」
はい、想定の範囲内のことです。
いいじゃん、みんなで使えば。
こんな位置関係にあって、うちはうち、バスのお客さんはバスのお客さんて、分ける必要ある?
そこはフィンランド式で考えようよ。
そう思いまして、
「うちの土地が皆さんのお役に立つなら、私も嬉しいです」
とお答えしました。
「そうですか!それはこちらとしてもありがたいです」
と担当者さんに言っていただき、交渉成立
何ヶ月か後には、ここに待合小屋が建ちますよ〜
楽しみすぎて、朝からニヤニヤが止まりません
また経過報告しますね〜