Day:5

5日目です。帰国前日で事実上の最終日となります。

この日の午前中は、バンコクの南青山通りとも言われるスクンビット通りを歩いてみました。

 

世界中からやって来た外国人居住者が多く住み、外国企業や高級ホテル、高級コンドミニアムが林立するスクンビット・エリア。ただ、BTS(バンコク・スカイトレイン)も地下鉄もなかった1990年代にもっとも多くバンコクを訪れていた私には、あまり馴染のない街でもありました。

 

先ずはスカイ・トレインのナナ駅で降りました。

 

 

スカイ・トレインが空をふさいで、ちょっとうっとおしいですね。

 

私のBANGKOK DAYSの初期の頃、よく泊まっていたナショナル・スタジアム周辺は、スクンビットからは距離的には近いのですけど、渋滞がひどく、観光的には見所の多いオールド・バンコクやチャオプラヤ川沿岸とは反対方向になるため、足を運ぶことは少なかったのです。

 

 

妖しさいっぱいという評判のソイ(小路)7/1を歩いてみましたが、昼間はごくごく普通の眠ったようなソイでした。風俗街のもう一方の雄、シーロムのパッポンもそうですよねウインク

 

 

 

スカイ・トレインの線路沿いに、アソーク駅、プロンポン駅と歩いたのですけど、表通りはあまり面白くなかったです。

 

 

プロンポン駅からトンロー駅にかけて日本人居住者が多いということですけど、こんなお店もありましたよ。

 

 

予習していなかったということもあり、スクンビット・エリアではあまり面白い風景は見ることができませんでした。お腹もすいてきたので、ランチです。

 

 

かに炒飯、オムレツ、パイナップル・ジュースだったと思います。ランチを済ませて、いったんホテルに戻りました。

 

 

ここからはスクンビット・エリアを舞台にした小説の紹介です。ネタバレはなしですよ。

「THE GLASS KINGDOM」。私の好きな英人作家、ローレンス・オズボーンの2020年の作品です。AMAZONのkindle版で読みました。

 

 

あらすじですが、物語のヒロインはサラ・マリンズ。ニューヨークの著名な女流作家のアシスタント兼個人秘書を務めるアラサー女性。

香港出張時に、年老いた雇用主の名前を利用して20万ドル盗んだサラは、一時的な身の隠し場所としてバンコクを選びます。

 

スクンビット通りから北に延びる小路、ソーイ23沿いにそびえ立つ「KINGDOM」という前面ガラス張りの超高級コンドミニアムに身を潜めた彼女は、ある日、マリというタイ・英混血の若い女性とコンドミニアムのプールで知り合います。そして、マリをきっかけとしてコンドミニアム内での社交生活を営み始めるのですが・・・。

 

 

バンコクの象徴、暁の寺(ワット・アルン)。

 

この物語、けっこう怖いです。モダン・ホラーとか、スタイリッシュ・ホラーとでもいうのでしょうか。物語の前半あたりまでホラーの要素は皆無なのですが、読み進むうちに少しずつ不吉な雰囲気が漂い・・・。

お化けや幽霊が出るわけではないんですけど。

面白いですよ。昔読んだ「ローズマリーの赤ちゃん」をなんとなく思い起こしました。

 

ローレンス・オズボーンは「グレアム・グリーンの後継者」とよく言われるようです。グレアム・グリーンは「Our Man In Havana」しか読んでいないので、なんとも言えないのですが、そうかもしれないなという雰囲気は感じられます。

 

 

史上もっとも美しい(?)媽祖廟。ロン1919にあります。

 

 

それにしても、これだけの作家、これまで日本で翻訳出版されたのが、わずか1冊。それも、チャンドラーのフィリップ・マーローものの新作として書いた「ただの眠りを(Only To Sleep)」だけというのが不思議です。

個人的には、先物買いをしているという、ちょっと嬉しい気分も味わえていますがラブ

 

 

チャルンクルン通りの朝。

 

Hilary Mantelという作家による書評の一部も紹介しておきますね。Deepl翻訳機の直訳に少しだけ手を加えました。

 

「バンコクが、この巧みに書かれた小説の主人公で、住人たちは、自身にとってさえ異星人のような存在である。彼等は人生のはるかな地平線の上できらめき、根無し草のように落ち着きがなく、恐れを抱きながら、自分たちが知る以上に多くの物語を持つこの街並みを動いている。」

 

こなれていなくてすみませんショボーン

 

いちおう、原文も載せておきますね。

“Bangkok is the star of this accomplished novel. Its denizens are aliens to themselves, glittering on the horizon of their own lives, moving - restless and rootless and afraid - though a cityscape that has more stories than they know”

 

※最後のほうの「though」は原文のままですが、「through」のミスプリントでしょうか。英語に詳しい方、いかがでしょう。

 

 

 

ワンランの最寄り桟橋、プラノック。

 

ローレンス・オズボーンの本は、いままで7冊読んで、いま8冊めを読み始めたところです。どれもみな、おもしろいです。