<日経新聞より>

ツナ缶の世界生産の2割を握る企業は東南アジアから出現した。タイ・ユニオン・フローズン・プロダクツ(TUF)。

欧米アジアに工場をもち、2012年の売上高は推計35億ドル(約3200億円)。社長のティラポン・チャンシリ(47)は「2年ごとに10億ドルずつ増やす」と熱く語る。

貧しい華人家庭出身の父、会長のグライソーン・チャンシリ(77)が700万円でタイの小さな工場を買ったのは1977年。
表舞台に引き上げたのはM&Aだ。アジア通貨危機の97年には破綻した米大手を37億円で、リーマン・ショック後の10年には仏最大手を860億円で参加に納めた。
2代目のティラポンは「危機」の度に逆に動いた。なお、「次のチャンス」狙う。視線の先には新興国がある。1缶100円強のツナ缶はまだ高級品。まず安価なイワシやサバの缶詰で攻め込みブランド浸透を狙う。

内需成長を当て込み日本企業が殺到する東南アジア。迎え撃つ地元有力企業の目はすでに世界市場を見据える。日本が得意なインフラ分野も例外ではない。

年内の商業運転を見込むインド初のモノレール。設計や建設、車両供給を手掛けるのはマレーシアのスコミ・エンジニアリングだ。武器は「徹底した現地調査とコスト競争力」。
新参のスコミは名だたる多国籍企業を相手に最近4案件のうち3件をものにした。

米調査会社によると東南アジア企業による域外M&Aは339億ドルと過去10年間の平均にくらべ8割増えた。
買収対象と捉えていた東南アジア企業が今や買い手に回る。

東南アジアマネーの向かう先は欧米だけではない。1月下旬、シンガポールの塗料大手ウットラムグループは日本ペイントに買収を提案した。
台頭するアジア企業と競い、手を携え、時には傘下入りすら迫られる。日本企業が直面する新たな現実だ。