最近、Facebookでフォローさせて頂いているJALのページに、整備士さんによる航空教室の動画が紹介されていました。

 

以前も見かけて、「おもしろいな~」と思いながら見ていたのですが、今回はなんと元整備士の社長も登場!

 

テーマは「エアコン」で、現役パイロットの自分も驚くほど詳しく、それでいて子供にも理解できるよう簡単に説明されていました!

 

そこで、勝手ながらJALさんの動画に追加する感じで、787の豆知識を少しシェアしたいと思います!

 

まずこちらの図。

(資料:JAL Youtube

 

いやー、とても分かりやすい図で感激しています!(笑

 

動画では、冷たい空気を作るには、「一回圧縮された空気をエアサイクルマシンで膨張させて冷やす」と説明されていましたが、その他にもよく見ると温かい空気がヒートエクスチェンジャー/熱交換器を通っているのが分かるかと思います。

ヒートエクスチェンジャーはエアコンの基本で、温かい空気が通った管の周りを冷たい空気が通ることで、温かかった空気の熱をとります。

こうして、高圧なうえ冷まされた空気を再度膨張させることによって、冷たい空気を作っているんですね!

 

ちなみに動画内でも説明がありましたが、787以外の飛行機は圧縮された熱い空気はエンジンから取り出しています。

この高圧高熱の空気をブリードエアー(Bleed Air)と言い、飛行機ではエアコンの他にアンティアイス(防氷)システムにも使われます。この高熱の空気をエンジンの前枠や翼など、氷が付きやすい表面付近のダクトに通し熱くすることで、着氷を防いでいるのです!

ちなみに787でも、エンジンのアンティアイスシステムはエンジンから取り出したBleed Airを使っていますが、翼は電気マットで熱くして防氷しています

高圧高温なBleed Air = エンジンが生み出したエネルギーなので、取り出すBleed Airの量が少なくてすむほど、エンジンの効率も上がることになります。なので必要とするBleed Airの量が少ない787は、とても効率的に運航できることになります!

 

 

 

(資料:JAL Youtube

 

この場面で見えるキャビン エア コンプレッサー、通称CAC(キャック)の取り入れ口の前に、張り出している板が見えるかと思います。いろいろと書かれている部分ですね。

これはディフレクターといって、CACが小石や鳥などの異物を吸い込んでしまわないように、跳ね返してくれます

ディフレクターは地上にいる時、そして高度300m以下でそれぞれ自動に張り出していて、左右のCACを守ります。コクピットから開閉操作はできません!近代の飛行機の特徴として、多くのシステムがパイロットからの入力/操縦を必要とせず、自動で稼働します。

ちなみにCACの取り入れ口もエンジンと同じような銀色の前枠が付いています。これも防氷表面で、電気によって温められています。

 

 

(資料:JAL Youtube

 

ここで登場するHEPAフィルターは、近代の飛行機には標準的に搭載されているもので、非常に小さな塵やばい菌でもブロックでき、コロナウイルス対策でも効果的と言われています!

 

 

今日はミュンヘン便を担当します!ミュンヘンは787に乗務して初めて行ったところで、初めての監査フライトもミュンヘンだったので、とても思い入れのある場所です。

前はクルーみんなでビールやシュニッツェルを食べに出たのですが、今回はウイルスの影響でできなそうです... それでも3日間いるので、早朝のランニングで少しは探索できたらと思ってます!