加藤文太郎が故郷の幼い頃から思っていた花子と結婚した。彼登山は一辺倒の生活から変わっていった。新妻花子を大事にする日常になつていく。

花子が妊娠する。彼は出産の妻を心配し産婆さんを呼びにり回る。

無事生まれた女の子 その子をいとおしくおもう毎日が続く。

そこに自分を慕っている「可愛い登山家」から厳冬期の槍ヶ岳の北鎌尾根の同行を頼まれる。妻子を思えば断りたい。一方若者が人生最後の登山にしたいとの強い思いにこたえてもやりたい思いもおきる。加藤は悩んだすえ、単独校でなく初めての二人の登山を決意する。

そこに悲劇が起きる。読み続けることがつらくなる最終章である。
この小説の発表は昭和44年のようだ。遭難は昭和11年の新年だ。作者は小説を書くにあたり奥様の許可をえて、加藤文太郎の実名を使ったとあとがきに記した。

写真 六甲山を西の高取山から東の宝塚まで50kmを歩き、その日のうちに戻った登山家を知りこの小説をよんだのです。

その西から宝塚迄の山波を私の家からみえるのです。10日の朝、前夜来の雨があがり久しぶりの快晴に、カメラを持ち出し撮りました。
その1 西の高取山方向

 

 

 

その2 芦屋の上方向 最高峰周辺です。

 

 

その3 六甲の東 甲山の右が宝塚方向です。

 

私は六甲全山のうち摩耶さんから東方向に歩きましたが、西は残念ながら歩いていません。