恍惚の人 有吉佐和子著を読む
複合汚染と並んでの社会性の高い小説である「恍惚の人」です。昭和47年6月(1972年)に新潮社から出版されている。今から54年も前に、高齢者が増加して起きてくる老人性痴呆症の問題点を的確に描き出している。作者の先見性の鋭さに驚かされる。追刷は文庫本は令和5年で72刷トいうから非常に多くの人たちに読まれていることがわかる。老人性痴呆症の84才のおじいちゃんとその介護に振り回される夫婦(夫は会社員次長、妻は法律事務所の邦文タイピスト)その子、受験を控えた高校3年生)一家が経験する痴呆症の症状(腹がへったとくりかえし訴える、昼間の家で、それがすすんで夜間徘徊、失禁など、家族のだれかが犠牲になってその介護に関わらざるをえなかったので、読者は共感されたことだろう。昭和57年に文庫版が出版される。巻末の解説を書か れた森みきおさんは「10年ぶりに読みかえしたが内容的に少しも古くなっていない」と書いている。が令和の今でも古くない内容だ。強いて言えば、2004年に用語として痴呆症から認知症に変わったことぐらいだろう。なお、映画化されたのは発表された翌年1973年(昭和48年)森繁さんが痴呆老人を演じている。また点字図書館では令和5年に群馬県桐生図書館で朗読のCDを製作され、それを聞いているのです。恍惚が若い人の50年70年先にあるということを知っておくためにも若い人たちも是非読んでおくべきだとおもいました。顧みて私はそんなことを少しも考えなかった一人だからです。写真 新潮社の文庫本カバー