一滴の雨に、
雪解けの一滴が、
なるまでの間
過去のことを思いながら
今を思う。
カペーリ。
雪解けの水が真っ直ぐに
空に昇ったと
思うのは焦燥。
尚早。
雫の連なりを
焼ききろうと咄嗟に
炎に翳した。
手のひらの中の一滴。
空の彼方に
蒸発せしめんと。
いや、
私たちは
穏やかに流れ出すの
だから。
どのような時でも
やがては。
小さくて、
最強で、最大。
敵わない(かなわない)。
抗わない(あらがわない)。
雪は雨に
雨は雪に
めぐり、めぐみ、
めでて、めから、
ゆっくりと流れ出す
一滴もまた
かつては雨の、雪の、
一滴だった。