ひょっこりはんの義父の後ろには、
義父と同じような年頃のネパールの
オヤジたちが3人ぐらい控えていた。
「あれが、オレっちの嫁だよ。
日本人だよ。へへ」
義父はどうやら、私を見せびらかすために、
友だちを連れて来ていたのだった。
私達は、結婚式の翌日から叔父や叔母
従兄弟など親戚の家を訪ね、挨拶まわり
に明け暮れた。ネパールの習慣である。
私が日本に帰る間際、最後に義父の部屋を
訪ねた。
私は義父にプレゼントするために、日本から
セイコーファイブを持参していたのだ。
「お義父さん、もらってください。」
義父は私のあげた腕時計の箱を開けず、すっと、
そのまま戸棚にしまうと、同じ戸棚から
別の小箱を取り出し、
「これ、持ってけ」
と、言って私に差し出した。