夫の家族について書いてきたが、
あまり義父について触れていないことに
気付いた。
つまり、夫の父である。
若い時、義父はバブラルおじいちゃんが
予想した通り、 かなりの放蕩ぶりで、
おじいちゃんのお金を散財し、
怒ったおじいちゃんは全ての財産を
孫名義に書き換えてしまったらしい。
私がネパールに行きだした頃には、
家族の中の義父の存在感はほとんどないに
等しく私は、義父を家族のお手伝いさんだと
勘違いするほどだった。
そんな義父であったが、一番下の息子である
夫には、あまり愛情を表さなかったらしい。
夫が父の為に、靴を買っても、腕時計を
買っても父は全く自分では使わず、
人にあげてしまっていたほどだ。
義父はまた、敬虔なヒンズー教徒でもあった。
そのため、アウトカーストの私とあまり
かわいいとも思えない息子の
夫の結婚式には参加するはずもなかった。
しかし、義父が結婚式の翌日の朝、
私達の部屋の入口付近で、ひょっこりはんの
ように半開きになったドアから
顔を半分だけ覗かせ、
私をじっと見ていたのである。