ダサインのお祭りも終わり、次のお祭り

ティハールがやって来ようとしていた時、

私の日本への帰国日が近づいていた。


夫がまだ独り身であると知って、嬉しくなったのも

つかの間、だからと言って二人の関係は、

これまでのホストファミリーとお世話になって

いる日本人のまま。


しかし、転機が訪れた。


夫が帰国直前の日の夕方に、


「二人で夕飯を食べに行かないか?」


と、私を誘ってきたのだ。


もしかすると、もしかするかもしれない。 

夢のパラダイスカトマンズディナーに

なるかもしれない。

私は、大いに期待し心の中で小躍りした。


そして、夫と二人、タメルからカンティパト通りに

ある、日本食レストランFUJIに向かった。

→Fujiは残念ながら今はなくなってます。


        「本日、休業」


や、や、休み😱😱😱😱😱


ディナーなんていらない。

道端でいい。ムードもいらない。

明後日、私が帰国する前に、私に好きと言ってくれ。

と、心の中で叫んだが、夫は私の期待した

ことは何も言わなかった。


「残念。閉まってたね。帰ろうか。」


そう言うと、私の手をギュと握り、

私を引っ張りつつ

車の多い大通りを横切った。


道を通りきった後も夫は、私の手を離すことは

なかった。


その時の手の温もりを胸に抱いて、私は

日本に帰った。