お母さんたちの罪悪感 | 芦田天文子〜千葉の健康運動指導士ブログ

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先日、健康経営に関わるお話をある方としていた時に、企業が従業員の方の健康を守るために作った仕組みにあまり真剣に取り組んでくれないという話題が出ました。 



本人の健康リテラシーが低い場合はさておき、取り組めない事情というのにも私は着目をしています。


それは働くお母さんが健康維持のための活動に割く時間がないという事情です。

 

 

私の母が子育てをしていた昭和の時代と異なり、核家族化・夫の収入の減少・子育て支出の増加・女性の社会進出など原因は多岐に渡りますが、今のお母さんは仕事を持っている方が大変多いです。

 

厚生労働省の調査によると、末子の年齢別就業率(正規・不正規社員含む)では、0歳児で45.1%、幼稚園年少にあたる4歳では72.3%、小学1年生にあたる6歳では74.1%と2001年と比較して10〜20%の伸びを見せています。働くのが当たり前の状況になってきているのですね。

 





 

この様に、仕事を持つお母さんが増える一方、家事・子育てにかかる手間は相変わらずです。

最近では夫が積極的に子育てや家事を分担してくれて、専業主婦時代のそれと比べて家事負担率は減ってはいると思いますが、総じて働くお母さんは仕事と家事の二つに一日の時間をほぼ割き、男性と比べて自分の時間が無い傾向にあります。


仕事が終われば、学童や保育園に直行し、買い物の重い荷物と子供を自転車に乗せて家に帰る。


帰れば、

まず夕食の支度をし、食べさせる。

子供の宿題を見てやる。

お風呂に入れて寝かしつける。

家の片付けや洗濯をする。

日付が変わる頃、やっと自分も寝られる。

毎日が時間と体力との勝負です。

 


しかしこれだけ頑張って1日を終えても、

散らかったままの家や、

十分に読んでやれない絵本や、

買ってきたお惣菜を並べてしまう「罪悪感」に苛まれるのです。

 


子供の背が低ければ、ちゃんと調えられなかった食卓が悪いのでは、と悩み、成績が悪ければ、勉強をちゃんと見てやれなかったのでは、と悩み、といった具合です。


これで夫が浮気をしたり、子供がグレたりしたら最悪です。誰が責めなくても、自分で自分を責めるのです。すべて私が働いているせいだ、と。

 



私も子供が小さい頃は仕事をセーブして、家事に割ける時間を確保していましたが、世に見る「良いお母さん像」と自分の違いが気になり、ちゃんとしてあげられなくて夫や子供に申し訳ないなぁ、と思っていました。

 

 


 

お母さんたちはこんなに毎日一生懸命働いて、仕事と家を往復しているだけで精一杯なのに、ジョギングしたりフィットネスクラブに通ったりする時間はあるのでしょうか。



会社の福利厚生でフィットネスクラブを使う事ができる会社がありますが、使えないのは怠け者だからでも意識が低いからでもなくて、本当に時間がないのです。

そんな時間があったら30分でも寝たい、もしくは家事に回したい。


それなのに、会社は体脂肪率が高いから運動をしろ、と言います。

上手くやれば時間は捻出できるはずだ、と言います。



 

頑張っても、頑張っても家のことには罪悪感があるというのに、それ以外のことももっとやれ、と言われる。

それは果たして、その人のライフスタイルに寄り添っているのでしょうか。

 

 

 

 

じゃあお母さんたちはもう外で働かない、という選択肢はありません。

昨今はお父さんも家のことをたくさん頑張ってくれています。

ではどうするのか。

 

 

 

健康経営に関わる話でいうと、お母さんたちを救うためには、健康維持のための活動時間を就業時間内に設けるしかありません。

会社としてもスキルの高い女性にはより長く働いてほしいものですから、そのためにはずっと健康でいてほしい。


健康経営が経営戦略上の投資だと言うのなら、生産性に関わる健康維持活動は就業時間内に。

これは絶対にお願いしたいなぁ。

 


 

そして先ほども述べた家事取り組みの不十分感から生まれる「罪悪感」。


これは子育てには母親が手をかけるべき、という従来の日本の文化を変えていかないといけないのだけれど、そんなに大仰なことは直ぐに出来ないから、罪悪感の無いアウトソージングがいかに出来るかが直近の取り組みとしては良いと思う。


業者でも身内でも良いけれど、手を借りられる所は手を借りて。

しかも家族が進んで行いたくなる様なハッピーな方法で。

なるべく、ローコストで。

お母さんたちの健康が損なわれる前に、なんとか取り組みたいことです。