円安問題には触れず G7、共同声明採択し閉幕
主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は10日午後(日本時間同日深夜)、為替相場の安定や機関投資家のヘッジファンドの監視に向けた取り組み強化などを盛り込んだ共同声明を発表、閉幕した。協議では欧州から「円が安すぎる」との懸念が表明されたが、共同声明では直接の言及を避けた。
ただ、声明は日本経済について「回復は順調であり、継続が見込まれる」と強調したうえで、「これが市場参加者に認識され、リスク評価に織り込まれる」ことへの期待感を表明。経済実態に比べ円が安すぎるとしてきた欧州に配慮した。
記者会見した尾身財務相は「為替市場が一方的に偏った行動をすることがもたらすリスクを認識するのが望ましい」と説明。行きすぎた円安を牽制(けんせい)する考えをにじませた。
協議での円安批判に対し、尾身財務相と福井俊彦・日銀総裁が「為替はファンダメンタルズ(経済実態)を反映すべきものだ。日本は物価安定のもとで持続的回復を続けている」と説明し、各国の理解を得たという。
また、福井総裁は会見で「G7会合が、2月の金融政策決定会合の帰趨(きすう)に直接影響するという話は一切していない。そういう受け取り方はしないでほしい」と述べた。
中国の人民元についても昨年秋の前回G7に続いて言及し、「中国など多額の貿易黒字がある新興国は為替水準の調整が望ましい」とした。
この日は世界経済や金融市場の課題、エネルギーの効率利用などを中心に議論。低金利を背景にした「カネ余り」による金融市場の過熱も懸念されるなか、投機的なヘッジファンドに対する規制のあり方も検討した。
声明では、ファンドが金融システムの効率化に貢献しているとの認識を示す一方、リスクの評価が難しくなっている側面も指摘。実態把握を進めるために、各国の通貨当局などでつくる金融安定化フォーラムに報告を求めることにした。
《G7共同声明の骨子》
●世界経済は依然、好調。日本の景気回復は軌道に乗り、持続の見込み
●こうした経済状況が市場に織り込まれることを確信
●為替水準は各国の経済実態を反映すべきだと再確認
●中国など多額の経常黒字がある新興国は為替水準の調整が望ましい
●保護主義に対抗し、ドーハ・ラウンド(多角的貿易交渉)の成功を支えることを確認
●ヘッジファンドの活動が複雑化しているため、警戒が必要
●マネーロンダリング(資金洗浄)、テロ資金と闘う取り組みを強化