オンライン診療 2024-06-05 | 日々雑感

日々雑感

西宮市の小児科医のブログです。

先日市内で調剤薬局を開業されている薬剤師さんから聞いた話です。

調剤薬局はそれが対面診療であれオンライン診療であれ、処方せんが出ればそれに対してお薬を出さなくてはなりません。

オンライン診療の場合は、医療機関からFAXで処方せんが患者さんが受け取りを希望する調剤薬局に送られます。

ある朝薬局に行くとそんな処方せんがFAXで送られていたそうです。

内容はただの風邪薬。

でもその送信時間が夜中の3時!

そして送信元は何と首都圏の医療機関!!!

 

国はオンライン診療を進めようとしています。

確かに便利な点もあります。

でも実際にはこんなことが行われているのです。

もしこの患者さんがただの風邪であれば、翌朝に受診すれば十分です。

それを夜中にオンライン診療を受けることで医療費が高くつきます。

夜中の診療の医療費は通常の時間に比べて割増しになるからです。

医療費の一部は自己負担ですが、それ以外はみんなの保険料で賄われています。

乳児医療などの公費負担がある場合、それは私たちの税金です。

だから不要不急の夜中の受診は医療費の無駄遣いです。

もしこの患者さんが重症な病気だったらどうでしょう。

オンライン診療で重症な病気かどうかを見極める能力は私にはありません。

ただの風邪だと思って風邪薬だけ出していたのであれば、それはとても怖いことです。

実は実際にそんなことがうちの患者さんでありました。

 

オンライン診療をされている先生の中にはとても優秀な先生もおられると思います。

だからそれをすべて否定しません。

でも実際のところはまだ玉石混交の世界です。

特に、急性疾患に対してのオンライン診療については、十分に注意する必要があると思います。