最近感染性胃腸炎のお子さんが増えてきています。
嘔吐や下痢が主なる症状で、ほとんどのお子さんがそれほど重症化はしません。
でも中には脱水がひどくなる子がいます。
特に赤ちゃんは急激に状態が悪化することがあるので、小児科医としては気を使う病気の一つです。
そんな感染性胃腸炎の赤ちゃんが今日受診されました。
20日から嘔吐や下痢があって、それが良くならないための受診です。
診察するとそれほどひどくはありませんが、唇が少し乾いており軽度の脱水傾向を認めました。
まだ点滴をするほどではないので、水分や食事のとり方をお伝えして経過を見てもらうことにしました。
その赤ちゃん、実は昨日オンライン診療を受けていました。
オンラインなので実際の診察を受けたわけではありません。
担当の医師からは感染性胃腸炎と診断を受け、整腸剤を処方されたとのことでした。
それを聞いて「う~~む」と思ってしまいました。
確かに聴診器を当てなくても、体に触れなくても、症状の経過から診断をつけることは可能です。
ただそこで問題になるのは重症度(=脱水)です。
その重症度(=脱水)の評価をしなくては、正しい介入はできません。
じゃあ、画面越しに重症度が評価できるのかと言われると、私にはできません。
その子の表情を間近で見て実際に触れてみないと私にはその子の重症度判定はできません。
その診療に当たられた先生は、たぶんそれを見抜くノウハウを持っておられるのでしょう。
そうでなければ、怖くてオンライン診療なんてできないと思います。
私自身はオンライン診療は急性疾患には向いていないと思っています。
慢性疾患で大きな変化がない場合はとてもいいシステムでしょうが、緊急を要する可能性があるシチュエーションではそれを見逃す可能性がまだまだ高い気がします。
それなら、今の段階ではまだ#8000などの電話相談の方が良いと思います。
電話相談はあくまでも相談なので診療ではありません。
だから先方の対応も慎重になりますし、何より投薬がなされないので状態が悪化した時に保護者側が「もう少し様子を見よう」との気持ちが起こりにくいです。
変に薬が出ることで安心して受診のタイミングを逃してしまうことの方が心配です。
こんなことを書くと、オンライン診療を実際に行っておられる先生からお叱りのご意見をもらうかもしれません。
「そんな考えは時代遅れだ!」と非難されることもあるでしょう。
でもそれを承知した上で、あえて私個人の考えをここに書きました。