【2時間サスペンス】浅見光彦シリーズ 個人的ベスト10【日テレ・TBS・フジ】 | Sepia Wind deux

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さて予告通り、テレビ版の2時間サスペンス、内田康夫原作『浅見光彦シリーズ』の個人的ベスト10を発表します。

で、前回も書きましたがこのシリーズ、映像化されたTVドラマがけっこうな数あります。

 

今回はそのうち、TBS版35+最終章9の計44作、フジテレビ版53作、日テレ版8作の合計105作から選ぶことにします。まあ、この中でも3作品ほど見てないものがあるので(いずれもTBS版の第2作、第29作、第32作)、それは対象外ということで。

 

1位の『棄霊島』より  

神宮外苑で待ち合わせた光彦とピアニストの宇津野ゆかり

 

まずは浅見光彦シリーズについて。

 

主人公は雑誌『旅と歴史』のルポライターである浅見光彦、33歳独身。

大蔵省主計局長だった父を早くに亡くし、現在は母雪江及び警察庁刑事局長である兄、陽一郎の家族と実家で同居中。母の雪江はとにかく光彦に結婚して独立してほしくて仕方ない(笑)

 

職業柄、取材で訪れた日本各地で事件に巻き込まれることが多く、地方の有名な観光地等を舞台にする、いわゆる旅情ミステリーに分類されるものが大多数であり、加えて歴史の絡んだ事件が多いのも特徴と言えます。

 

その際はたいてい事件関係者である若い女性(被害者の家族であることが多いのですが)と一緒に事件の解明に奔走することになるのですが、まあそれもテレビシリーズの特徴でもあるので今回は作品ごとにヒロイン役も明記しました。

 

あと、今回のベスト10選出に当たって原作は全く考慮に入れておりませんのであしからず。

 

ということでまずは1位から。

 

 

1位『棄霊島』

  第一夜「軍艦島最後の赤ちゃん」・第二夜「さらば軍艦島」フジテレビ版  第40作  2011年  

 舞台︰長崎・浜名湖

  浅見光彦役:中村俊介 ヒロイン:南野陽子・星野真里

 

 長崎市の端島、いわゆる軍艦島

 

 海に突き落とされた光彦を、自ら海中に飛び込んで助けた篠原雅子

 

 本作もうひとりのヒロイン、ピアニスト宇津野ゆかり

 

昭和48年炭鉱の閉山式の夜、台風が軍艦島に迫る中、島の神社の宮司が変死した。同時刻、切迫流産の危機が迫る篠原母子を救ったヘリコプターは警察や海保ではなく自衛隊のものだった。ヘリを軍艦島へ飛ばす命令を出したのは防衛庁長官だったが、そんな要人を動かせた人物とは?

 

当時軍艦島の炭坑における激しい労働争議の仲介役を担った2人は、現在教育界と財界の重鎮となっており・・・。過去の事件を退官後も追い続けた老刑事が御前崎の海岸に死体となって流れ着いて事件の幕が切って落とされる。 

 

作品のスケールが大きい一作。

テレビシリーズでは唯一の前後2話構成。ダブルヒロインの2人も魅力的でした。元高級官僚の大物に会うため、光彦を助ける陽一郎もかっこよかったです。

私がテレビの『浅見光彦シリーズ』に惹かれる決定打となった記念的作品でもありますね。

 

 

2位『平家伝説殺人事件』 

  TBS版  第21作  2011年  舞台︰藤ノ川(高知県)

  浅見光彦役:沢村一樹 ヒロイン:黒川智花 

 

 音信の途絶えて久しい兄のその後を知り、光彦とともに故郷に戻った稲田佐和

 

 最初は光彦のことをストーカーと勘違いしていたのですが

 

自分の運命に従い故郷に骨を埋めようと決意する佐和に惹かれる光彦だったが・・・ 

 

日本の各地を巡ってその都度いろんな女性と出会う光彦ですが、たぶん最も惹かれた女性が平家の落人伝説が残る高知県藤ノ川で出会った稲田佐和。

 

どの事件も最後は種々の事情で失恋?に終わって母親の雪江をがっかりさせる光彦が、唯一のキスシーンを演じた女性がこの方。

このヒロイン役の存在というのもシリーズ人気を支える重要な部分でもあるので、そういう事情も加味してこの作品を2位としました。

 

 

3位『風のなかの櫻香』

  TBS版  第35作  2016年   舞台︰奈良・志摩

  浅見光彦役:速水もこみち ヒロイン:志田未来

 

生まれてすぐに捨てられた櫻香(さくらこ) はその後、尼寺の養女として育ちます

 

 天涯孤独と思っていた彼女の両親の消息を知った直後、またもや悲しい運命が彼女を襲う・・・

 

 亡くなった父親が生まれ育った家では思いがけない出会いがあって

 

とにかくヒロイン役である櫻香の悲しすぎる運命が重く・・・。にも拘らず人一倍明るい笑顔を見せる彼女の健気さと言いますか、あまりに明るすぎて笑ってしまう場面もあって。 

 

1枚目の写真、女子大への登校の朝、寺の前では光彦とともに見知らぬ中年男性が待っており、男は櫻香に「行ってらっしゃい」と優しく声をかけます。

不審そうに見ていた櫻香もなぜか「行ってきます」と応えるのですが、その男はやがて水死体となって発見される・・・。

 

あまりにも重い運命に翻弄される櫻香ですが、温かい瞬間は突然訪れて。

3枚目の写真で、この老人が彼女の手を取り、「よく来てくれた・・・。ありがとう」と言うシーンには思わずホロリと来ました。

 

こんな感じで心を打つシーンが随所にあって忘れがたい作品となりました。あとは音楽がこの作品の雰囲気によく合っているのも高得点。

 

 

4位『華の下にて』 

  TBS版  第18作  2004年   舞台︰京都

  浅見光彦役:沢村一樹 ヒロイン: 柳沢なな?

 

 華道家元の孫娘の丹野奈緒 次期家元の父に反発して家出して頼ったのが光彦

 

 光彦が京都滞在の際に定宿としている『京都東急ホテル』

 

張り込み先の祇園白川でわらび餅 たぶん現在『ぎをん 小森』がある場所の二階 

 

次期家元の父親が祇園のお茶屋女将と不倫していることを知った丹野奈緒は、イベントで知り合った光彦を頼って家出をするのですが・・・。

光彦の母親雪江は、奈緒の父親と対立する華道家牧原の新しい生け花と家元の生け花の違い、家元が多くの弟子に対して持っている責任について優しく諭して、最後は奈緒も納得するという。

 

雪江は非常に広い教養を持つ女性で、光彦が物を知らないことにしばしば呆れることがあるのですが、今回のように奈緒に対して優しく教えるシーンは非常に感銘を受けますね。

 

奈緒が牧原の新しい生け花に惹かれるのは感覚的な部分以外に実は別な理由もあり。

あとは途中で明らかになる若き日の牧原と家元夫人の関係等。

最後は意外な血縁が明らかになって・・・。

 

それとこの回はロケ地が豪華で。↑の写真の他、叡電の二ノ瀬駅や夜の貴船神社の石段、嵯峨野竹林、化野念仏寺、東福寺通天橋等々。

 

 

5位『天河伝説殺人事件』

  フジテレビ版  第30作  2008年   舞台︰奈良

  浅見光彦役:中村俊介 ヒロイン:田中美里

 

「霞に紛れて失せにけり」と踊る光彦に驚く能水上流宗家の孫水上秀美

 

水上流分家の高崎が秀美に紹介したい、と持ち出したお見合い話の相手が光彦だったという

 

兄を差し置いて能の才能を、宗家和憲から高く評価されていたのが秀美

 

能の水上流家元の跡を継ぐのは誰か?

6年前に亡くなった宗家の息子和春が残した和鷹と秀美の兄妹。

能の才能においても秀美の方が上という評価もあって亡き和春の妻、菜津美は選ばれれば女性初の宗家となる秀美を推していた。

だが追善能の舞台で兄の和鷹が亡くなる。死因は毒。やがて宗家和憲が姿を消し、奈良の天河で遺体となって発見される・・・。

 

トリックみたいなものをあまり使わない作品が多いこのシリーズで、この真相は非常に驚くと同時に感心させられました。まさに因果応報なんですけど、いろいろかわいそうな人が多かったなあ・・・。

 

秀美は光彦とのお見合い話が持ち上がっており、歴代ヒロインの中でも重要な女性のひとりですね。

ふたりで真相を探る中、「光彦さんとだったらお見合いしたかったな」、というセリフがとても印象的でした。

 

 

6位『漂泊の楽人』 

  TBS版 第24作  2007年  舞台︰沼津・新潟

  浅見光彦役:沢村一樹 ヒロイン: 星野真里

 

光彦の大学時代の同級生漆原宏の妹、肇子

 

宏は「もしも俺に何かあったら俺のPCを浅見に渡してくれ」と言い残しやがて水死体となって発見される・・・

 

兄の遺言?どおり、光彦を頼る肇子だったが今度は母親が沼津の自宅で刺殺されてしまう・・・

 

日テレ版、TBS版、フジ版の三社ともに映像化してる秀作。

 

背景にはまだ貧しかった時代の日本の影の部分があって。

というか肇子は母と兄と三人暮らしなのに母と兄が殺されてしまうという、これも本当に悲しい運命に翻弄されており・・・。

 

夜になって東京に戻ろうとする光彦に、どうか泊っていってくれないか?と懇願する肇子。そりゃ母親が殺された家でひとり夜を越すのは怖くて仕方ないでしょう。

別室で寝ながら襖越しに、好きな女性は「戦友になれるような人」と言う光彦に「私たち、戦友ですよね・・・」と応える肇子が何ともせつない。

 

 

7位『天城峠殺人事件』

  日本テレビ版  第2作  1987年  舞台︰天城(伊豆)・大船渡(岩手県)

  浅見光彦役:水谷豊 ヒロイン: 加納みゆき

 

取材先の修善寺で出会った小松麻美は、天城トンネルの先でひき逃げされて死んだ父親の足跡を追っていた

 

麻美の父親は日本全国の社寺に立ち寄り、千社札を貼り歩いていた

 

事件解決後、大船渡の寺院(たぶん長安寺)で「明日は日曜だから今日はゆっくりできるんです」と言う麻美に、「僕・・・、今夜取材の仕事が入っているんです」と応えてしまう不器用な光彦・・・

 

ここ数年BSでは各局2時間サスペンスの再放送を行っており、そのおかげでTBS、フジの浅見光彦シリーズのほとんどを視聴録画保存できていたのですが、今年になってようやく日テレ版水谷豊バージョンの浅見光彦を見ることができました。

 

日テレ版はTBSやフジに先駆けてシリーズを映像化していたのですが8作品で終わっており。

なんでも原作者的に、俳優が光彦のイメージに合ってないということで打ち切りになったらしい・・・。

たしかに水谷さんの光彦は独特のユーモアがあってその後のTBS版やフジ版の光彦と違う感じはあるのですが、若いころの溌溂とした水谷さんらしさも出ていて正直私はすごくいいんじゃないかと思いました。

 

で、今回ここに天城峠殺人事件を選んだのは、エンディングテーマが杉山清貴さんの『風のLONELY WAY』だったというのも大きかったり。1987年ですからまさに私の学生時代かつバブル時代の空気を感じることのできる名曲ですね。

 

偶然ですがこの『天城峠殺人事件』のED部分だけをアップしてる方がおられたのでここに貼らせていただきます。

 

火曜サスペンスED 「風のLONELY WAY」

中西のおばさんと言う方が、毎回光彦にお見合い相手の写真を持ってくるんですが、このEDはそのエピソードを前提にしています(笑)

 

 

8位『天河伝説殺人事件』 

  TBS版  第9作  1997年  舞台︰奈良

  浅見光彦役:辰巳琢郎 ヒロイン: 細川直美

 

姿を消した祖父の宗家和憲を探して天河を訪れる秀美

「今から30km先まで歩くのは無理でしょう。これもなにかの縁です」とソアラで送る光彦

 

水上流分家の高崎を通じて浅見家は水上家とも交流があったことを知り、光彦にも徐々に心を許す秀美

 

写真を見せて祖父和憲を探す秀美。この茶店で光彦と偶然出会います

 

辰巳琢郎さんの作品もベスト10に入れたいと思っていたのですが、『高千穂伝説殺人事件』と迷った結果、こちらを選びました。

というか『高千穂伝説殺人事件』はEDがよかったので、次回の記事エンディングベスト10の方で選出させてもらう予定。

 

『天河伝説殺人事件』は映画のほかテレビドラマも3作あるほどに人気の作品ですが、どれもよくできている印象があります。

ただし、映画は監督が市川崑ということもあり、金田一耕助シリーズの雰囲気が強すぎる感も。

 

 

9位『津和野殺人事件』

  フジテレビ版   第4作 1997年  舞台︰津和野(島根県)

  浅見光彦役:榎木孝明  ヒロイン:森口瑤子

 

行ったことのないはずの『太鼓谷稲成神社』の記憶を持っている母樋口久美

その記憶が正しいのか確かめるために母を津和野に連れ出す娘の実加代

 

真相を明らかにしたのち、江戸時代からつづく津和野きっての旧家朱鷺家をあとにする光彦と実加代

 

別れ際、名残惜しい光彦に「あのぅ・・・」と声をかけられて振り返る実加代

光彦はあとの言葉が続かず、「お元気で・・・」 そのままED

 

フジテレビ版最初の14作で光彦役を演じた榎木孝明さんは、原作者をして最も光彦のイメージに近いと言わしめており。

第15作以降で中村俊介さんと交代したのちも兄の陽一郎役として第53作まで登場し続けました。

 

その榎木さんの作品もひとつ入れたいと思って選んだのがこちら。沢村さんのTBS版でも同じ『津和野殺人事件』は映像化されており、こちらもすごくいいんですが、フジ版はなんと言ってもEDの曲がいいので。

 

この回のEDは石井聖子さんの『会いたくて・・・』。1997年の作品ということですが、当然のように当時は知らなかった曲。でも、物語の最後に流れる曲というのは、なにか余韻みたいなものを残してくれて私は好きですね。

 

会いたくて・・・ 石井聖子

 

 

10位『不等辺三角形』

  フジテレビ版  第49作  2014年   舞台︰名古屋・仙台

  浅見光彦役:中村俊介  ヒロイン:野村佑香・平田薫

 

事件が終わって記念写真を撮るために庭園に向かうこの時間がいいんですよね・・・

 

背景も光の加減も、みなさんの笑顔もいいですね

 

今回はマドンナ役の方のポートレート風の写真が多かったので

最後に私の最も好きな光彦役である中村俊介さんの1枚

 

最後の10位はどれを入れるかすごく悩みました。

結局いろいろ考えてこの『不等辺三角形』を入れたんですが。

 

これもエンディングテーマが私の好きな『いつの日も』であることが一点。

あとは戦時中に留学生として来日していた汪兆銘の秘宝という歴史ロマンを絡めた宝探し部分。

そして何よりラストシーンの爽やかさ。

 

↑にも書きましたが、メインの儀式を終えて記念写真を撮るから、と庭に出るあの時間はなんとも言えない至福の刻という気がするんですよね・・・。

写真を見ながらふと子供の結納式を思い出していました。  

 

 

というわけで以上個人的ベスト10でした。 記事の中でも言及しましたが、次回はエンディングに絞った超個人的浅見光彦シリーズエンディングベスト10の予定です。