お寺での生活が始まってから数日経ったある日、師僧から一冊の冊子を手渡され、読んでおくようにと指示されました。

『知っておきたいこれだけは』と銘打たれた冊子は初心の行者として知っておくべき知識や心構えがあり、その中に、六波羅蜜の事が書かれていたので、本日も含めて何回かに分けて取り上げてみたいと思います。

 

仏様を拝む時には、御供えを致しますが、御供物には、次ぎの六種が有るという事を知っておいてください。

閼伽(アカと読み水や御茶等)・塗香(お香)・華鬘(ケマンと読み花の事)・焼香(線香)・飲食(食べ物等のお供物)・燈明(ローソク)の六種です。

この六つは佛様の六つの知恵を表したもので、六つの仏智を修行することによって、佛の心に通ずるのです。

又この六つの智慧を六波羅蜜といい、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧の六つであります。

布施と持戒は貪りの心をなくし、精進と忍辱は瞋恚(しんい)の心を滅ぼし、禅定と智慧は愚痴邪見の姿をなくします。

 

お供物といえば、一般的には神佛に対して感謝の気持ちを表して御供え致しますよね。

例えば、仏前や神棚に御水とか御飯を上げながら「どうぞ、お飲みくださいませ。どうぞ、お召し上がり下さいませ。」など。

 

ですが、実は、手を合わせる我々が、その御供物を見て自分の言動を省みたり、自分自身の本当の心と向き合う為のものなのです。

  

お線香(精進波羅蜜)

一度点火すれば、ゆっくりではあるが一定のリズムで最後まで燃えていきます。

この様子を我々の日常生活の中に例えて(職場や家庭に於いて、或いは人間社会に於いて)自分自身がどれだけ努力が出来ているのか?

急がず焦らずコツコツとどれだけ精進出来ているのか?

時には、もう少し頑張れたのではないか?

と線香がゆっくりと燃えていく様をみて、自分で自身の努力を省みる為に御供えするのです。

尚、線香の香煙はどんな隙間にも入って、嫌な臭いを浄化する事から穢悪不浄を除く徳があるともいわれています。