原作が読みたくなって、本屋に探しにいった。
離婚して一人暮らしをしている中年のシナリオライターが体験する一夏の怪談(というか奇跡)の物語だ。映画同様美しく切ない小説だった。
最初にこの映画を見たときには、ぼくの両親も健在だった。この映画に感じた切なさは、いつか自分もまた親を失う予感や、恐れの中で感じたものだった。
あれから何十年もたち、主人公の年齢をはるかに上回るようになった。両親ともに、この世を去った。そんな中で、再び見たこの映画の中での幽霊の両親と団欒にその身を削る主人公の気持ちが以前より深く伝わってきた。
両親に会いたい。しかも、自分が子供の頃、すべての愛情と安心の源泉だった力強く、優しい両親にもういちど会いたいという気持ち。
「子供のころ、強行軍の遠足から帰って、日本軍の雑嚢で母がつくったランドセルをそこらにほうり、シャツもズボンも靴下も脱ぎ捨てて畳にころがり、すべての身構えや警戒心を解いて、夕食の仕度をする母の後姿を見ながら、うとうとしてしまう。それに似た快い感覚が、あの夜の私の内部を満たしていた。」
若くて、美しく、少々はすっぱな母親に対する甘やかな思いと男らしい父親への信頼。
読み終わると、若い頃の父と母のことが懐かしくてならなくなった。
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