パラレル ホミン

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Y side
鼓動が早くて息苦しい。
目を見開いたまま固まった俺を暫く誘惑するように見つめていたチャンミンは、急にへにゃりと顔を崩した。
「駄目かぁ…」
さっきまでの艶っぽさが嘘の様。
まるで怒られた子供の様に泣きそうな顔をしていた。
「引いたよね」
ポツリと呟いて俺から目を逸らす。
空のワイングラスを持つ手が微かに震えていた。
一体どちらが本当の彼なんだろう?
慣れた風に男を誘うチャンミンと、
純粋無垢な子供の様に怒られたり、嫌われるないかと怯えるチャンミン。
「慣れない事はするもんじゃないね」
そうチャンミンはポツリと呟き「ごめんなさい」と零す。
「信じてもらえないかもしれないけど、初対面の相手にこんな事したの、初めてなんだ」
震えたままの手は、彼の純真さの現れか。
初めてを自分に見せてくれた事が嬉しく思えて、無性にその姿が愛しくなる。
こんなに勇気を振り絞ってくれてる相手に、男だからとか、逃げる言い訳を見繕ってる自分が無性にかっこ悪く感じた。
「見惚れてた」
そう本音を漏らすと「嘘だ」と否定される。
どんだけネガティブなんだと思うけど、そんな弱さも可愛く見えて来てるから中々これは重症だ。
「たぶん一目惚れ」
震えを止めてあげたくて、グラスを持つチャンミンの手にそっと自分の手を添えた。
「嘘」
涙が膜を張った瞳が俺に向けられる。
あぁ、綺麗だなぁ。
「じゃなきゃナンパしないだろ」
今度はチャンミンが固まる番だ。
大きな目が驚いたせいでますます大きく見開かれる。
「う…そだよ」
「本当に。初めてチャンミンの事を見た時にドキッとした。
だから、気付いたらわざわざビール買って声掛けてたんだよ。
でも、チャンミンも分かるだろうけど、流石に自分が同性に対してそんな気持ちを抱いてるなんて中々認められなくてさぁ」
俺が話す最中に、ポロリとチャンミンの大きく開かれた瞳から涙が零れ落ちた。
震えはまだ止まってないけど、手を離して今度は伸ばした指で涙をそっとなぞる。
「でも、話せば話すほど魅力的だし、さっきの別れの理由聞いて、凄く腹が立って、俺だったらって言いそうになってた」
「それって…」
あぁ、どこまで大きくなるんだろうな、チャンミンの目は。
ポロポロと涙を零したまま、また一回り目が開かれる。
「それも気のせいで誤魔化そうとしたのに、留めにあんな目で誘惑して来るんだもんなぁ、チャンミナ」
恥ずかしかったのかみるみるチャンミンの顔から耳まで真っ赤に染まる。
あぁ、本当に。
見た目とのギャップが堪らない。
綺麗で、可愛くて
妖艶で、純粋。
惹きつけられて仕方ない。
「俺を最初で最後にしろよ、あんな顔見せるの」
誰にも見せて欲しくないし、知られたくもない。
俺ってこんなに独占欲強かったっけ?
自分の口から出た言葉に不思議な気持ちになりつつ、チャンミンの耳に口を寄せた。
「なぁ、俺、チャンミンにキスしたいし、気持ち良くしてあげたい」
そしてさっきのチャンミンみたいに誘惑する様な視線を送った。
「チャンミンを抱きたい」
ゴクリとチャンミンの喉が動く。
パクパクと溺れる魚みたいに開いた口が、掠れた声を漏らした。
「うちに、来て」
その言葉に笑顔で俺は頷いた。
続く
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