雪辱を「晴らす」「果たす」←どちらが正しい? | 伝わる・喜ばれる文章講座

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どうすれば人に伝わって喜んでもらえる文章が書けるようになるのか?Webライターが文章のコツを書いていきます。

不本意だった結果を拭い去るべく、次はより頑張りたいと言いたいとき、次のうちどちらの表現を使いますか?

 

① 雪辱を晴らす

② 雪辱を果たす

 

よく似た言い方のように思えますが、片方が間違いです。

どちらが正しいのか分かるでしょうか?

 

正解はです。

 

「雪辱」という言葉に使われている「雪」には、冬に空から降ってくる「ゆき」以外に「雪ぐ(すすぐ)」という読み方があります。

すすぐとは、払って除くことを表す言葉です。

「辱」は訓読みで「はずかしめ」と読みます。

恥をかかされたり、名誉を傷つけられることを指します。

 

つまり「雪辱」だけで「恥をすすいで取り除く」という意味があるわけです。

 

ここに「晴らす」を組み合わせてしまうと、「すすぐ」と「晴らす」の意味が重複してしまいます。

よって、「雪辱を果たす」が正しく、「雪辱を晴らす」は誤用といえます。

 

「晴らす」と使うのは、「屈辱を晴らす」といった場合です。

「屈辱」は屈服させられて恥を受けることですので、「晴らす」で間違いありません。

 

「雪辱を果たす」によく似た言葉に「汚名返上」があります。

汚名とは、不名誉なことや悪い表場を指す言葉です。

悪いものは返して手放してしまったほうがいいので、「返上」がセットで使われます。

 

よく「汚名挽回」という言葉が誤りと指摘されることがありますが、

近年では「挽回」の元の意味から誤用と言い切れないとする説も出ており、辞書によっては「汚名挽回」を掲載しているものも登場しています。

 

ただ、本来の言い方としては「汚名返上」であり、「挽回」を使うのは「名誉挽回」のような場合です。

とくに意図がない限りは「汚名返上」「名誉挽回」を使うほうがいいでしょう。