「ご静聴ありがとうございました」←どこが間違っている? | 伝わる・喜ばれる文章講座

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どうすれば人に伝わって喜んでもらえる文章が書けるようになるのか?Webライターが文章のコツを書いていきます。

プレゼンやスピーチの最後に「ごセイチョウいただき、ありがとうございました」などと言うことがあります。

この「セイチョウ」という言葉を漢字で書くとき、「静聴」と書いたことがありませんか?

実は、この使い方は間違いです。

 

正しい漢字が分かりますか?

 

正解は「ご清聴いただき、ありがとうございました」です。

 

「静聴」は文字通り「静かに聴く」ことを表しています。

よって、「私の拙い話を静かに聞き入ってくださって、ありがとうございます」という意味を込めているように思えます。

 

一体どこがおかしいのだろう?と思いますよね。

 

本来、「静聴」は会場がざわついて騒がしいときなどに「ご静聴願います」といった使い方をします。

言葉はていねいですが、要するに「静かに聴いてもらえますか?」という意味なのです。

よって、スピーチなどをする本人ではなく、司会者など第三者が言うべきことなのです。

 

一方、「清聴」には「人が自分の話を聞いてくれることに対して敬う」という意味があります。

まさに「ご清聴いただき、ありがとうございました」と伝える場合に適した言葉といえるでしょう。

 

ポイントは、

  • 「ごセイチョウいただき、ありがとうございます」は「静かに聴いてくれてありがとう」ではない
  • 「静聴」は、静かにするよう注意を促す意味で使われる(目上に対しては失礼にあたる)
  • 「清聴」には「話を聞いてくれたことへの感謝」が込められている

といった点です。

 

「清聴」も「静聴」も読み方が同じである上に、「静かに聞いてくださって、ありがとうございます」でも違和感があまりないことから、間違えやすい同音異義語といえます。

 

スピーチ原稿など文字として残る場合はとくに「ご清聴いただきありがとうございます」と間違えずに書くよう注意しましょう。