日本語には「漢語」と「和語」があります。
漢語はもともと中国の言葉で、日本語として取り入れられたものを指します。
和語は古くから日本で使われてきた言葉です。
一般的に、漢語は漢字のみの熟語で表され、音読みの言葉がほとんどです。
これに対して、和語は訓読みの熟語が多く、ひらがな混じりの言葉も多く見られます。
漢語は堅い印象を与えますが、短い字数で情報を伝えられる特徴があります。
一方、和語は柔らかい印象をもたらしますが、漢語よりも文字数が多くなる傾向があります。
漢語と和語のこの特徴を活用すると、文章の印象をマネジメントすることができます。
たとえば、下の文を見てください。
「携帯電話の契約を解約するには、携帯ショップへの来店が必須となっている。
このことは、顧客にとって解約の障壁となっている。」
「必須」「障壁」といった漢語が使われていることで、どちらかと言うと堅い印象を持たれる文になっています。
では、次のように書き換えたらどうでしょうか?
「携帯電話の契約を解約するには、携帯ショップに来店しなくてはならない。
このことは、顧客にとって解約の妨げとなっている。」
「必須」を「しなくてはならない」、「解約」を「妨げ」と言い換えただけですが、受ける印象がずいぶん変わったことが分かるはずです。
一般的に、漢語が多く使われた文章は「堅い」「格調高い」「とっつきにくい」といった印象を与えます。
反対に、和語が多く使われた文章は「柔らかい「親しみやすい」「くだけている」といった印象を持たれやすくなります。
多くの人の目に触れる文章であれば、どちらかと言うと漢語は和語に言い換えたほうが読まれやすい傾向があります。
ビジネス文書などオフィシャルな文章であれば、あえて漢語を多めに使うことでフォーマルな印象を与えることができるでしょう。
このように、漢語と和語を意識的に使い分けることで、文章の印象をマネジメントできるのです。
次に文章を書くときには、「この漢語は和語に言い換えられないだろうか?」「もう少し漢語を多めにしてみよう」など、漢語と和語のバランスを意識してみましょう。