Webライターの仕事をしていると、同業の方の中には「口下手だけれど文章を書くのは得意」という人が案外多いことに驚くことがあります。
記事ではとても饒舌に、すらすらと語っているように見えるのに、対面で人と話すことに苦手意識を持っている人がけっこういるのです。
私は人と話すことはそれほど苦にならないほうですが、それでも「とっさに気の利いたことを言う」とか、「言われたことにすぐ反応する」のは得意ではありません。
文章を書く場合、自分にとってちょうどいいリズムや時間感覚で構成を考えることができるので、その場で考えて話すよりもラクだと思うことがあります。
そう考えると、私自身も話すより書くほうが好きなのかもしれません。
考えてみると、これはとても重要なことです。
人に何かを伝えるのは、自分自身がこの世界に存在していることの何よりの証明になります。
相手が受け入れるかどうか、気に入られるかどうかはともかく、自分が存在していることによって相手に何かを伝えているのですから。
逆の見方をすると、自分の考えや思いをうまく伝えられないことは、多かれ少なかれ自己評価を下げることにつながりかねません。
「人に考えをうまく伝えられない」という経験を繰り返すうちに、いつしか自己肯定感まで低くなってしまうことも考えられるのです。
その点、話すのが上手でなくても文章で表現できれば、自分の言葉そのものは無価値ではないことが分かります。
もちろん文章でなくても、絵でも歌でも、楽器の演奏でもダンスでもいいのですが、自分を表現できる何らかの方法があることは素晴らしいと思うのです。
口数が少なくても文章が上手だと、とても奥ゆかしい人だなあと感じます。
その人ならではの言葉の選び方や、表現のセンスが光っていたりすればなおさらでしょう。
そして何より、文章を書くのが得意なら「伝わらないときには文章で伝える」ことができるわけですから、コミュニケーションの選択肢を増やすことにつながります。
「どうせ分かってもらえない」と思わなくて済む場面が増えるのです。
文章に苦手意識を持ったままでいるのは、本当にもったいないことです。
今よりほんの少しでも書くことへの抵抗感が弱まれば、自己肯定感を高めることができるはずです。
文章を書くことを避けてしまわず、少しでも上達させることで自己肯定感を高めていきませんか?
自分の言葉が人に伝わるのは、とても楽しいことですよ。