「起承転結」で構成するのは案外ハードルが高い | 伝わる・喜ばれる文章講座

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どうすれば人に伝わって喜んでもらえる文章が書けるようになるのか?Webライターが文章のコツを書いていきます。

文章の構成を考えるとき、よく言われる方法の1つに「起承転結」があります。

 

皆さんも「起承転結の4部構成で考えましょう」と言われたことが一度はないでしょうか。

 

たしかに、起承転結で書かれた文章は読みやすく、読んでいて頭に入りやすいので、優れた構成と言えるでしょう。

 

ただ、起承転結に沿って書くのが「書きやすい」かどうかと言われると、実際は「そうでもない」と思います。

 

 

起承転結はもともと漢詩の構成から来ており、次のような文章の展開のことを指しています。

 

  • 起:テーマに関する情報や背景
  • 承:本題
  • 転:別の事柄や具体例
  • 結:結論やまとめ

 

「起」「承」はまだいいのですが、「転」の部分で一気にハードルが上がると思いませんか?

 

実際、面白く興味深い文章の多くは、この「転」の部分に意外性があったり、読者の意表を突くようなユニークな論旨展開が見られたりします。

 

ただ、これはあくまでプロが書く文章の話です。

 

 

プロではない一般の人が文章を書くとき、無理に起承転結に当てはめて書こうとすると、とくにこの「転」の部分でつまずいてしまう可能性が高いでしょう。

 

仮に、読者が想像もしていなかった奇抜な展開を「転」で書くことができたとしても、最後の「結」に結びつけるのが難しくなるはずです。

 

こうして、「文章がまとまらない」「何が言いたいのか分からなくなった」といった状態になってしまうのです。

 

 

個人的には、もっとシンプルな構成を基本形にしたほうが、文章を書きやすいのではないかと考えています。

 

たとえば、次のような文章の構成です。

 

  • 結論
  • なぜそう考えるのか
  • 具体例
  • まとめ

 

起承転結と同じ4つのパートから成る構成ですが、はじめに結論を持ってきている点が異なります。

 

最初に結論を述べているので、何を伝えようとしている文章なのか読み手にストレートに伝わります。

 

書き手としても、自分がこれから何を書こうとしているのかが明確になり、内容がブレにくくなるでしょう。

 

 

具体例は絶対に必要なものではありませんが、例を挙げたほうが伝わりやすいケースが多いはずです。

 

身近な例を挙げることで説得力が増し、結論を補強することにもつながります。

 

 

最後の「まとめ」は、基本的には最初に述べた結論と同じで構いません。

 

「文章の最初と最後が同じことの繰り返しにならない?」と思うかもしれませんが、それでいいのです。

 

読み手は具体例から引き戻され、「何を伝えたい文章なのか」を再確認するでしょう。

 

そして、「この書き手は、こういうことを伝えたいのだな」と改めて認識することになります。

 

読む側としては負担感が少なく、結果的に「読みやすかった」「分かりやすい」と感じてもらうことができます。

 

 

「起承転結」は文章構成の手法として悪いものではありませんが、無理に当てはめるべきものでもありません。

 

もし文章の構成で迷ったら、今回紹介したシンプルな構成もぜひ活用してみてください。