俺、ファーストペンギン! -3ページ目

俺、ファーストペンギン!

21歳。一人前のおとこになるべく、奮闘中。

09.05.27(水)

 「オール1の落ちこぼれ」を経験した高校教諭、宮本延春(まさはる)さん(40)は、九九を言えぬまま中学を出た。人生を変えたのは、23歳で女友達に借りたアインシュタインのビデオだと自著にある。物理にあこがれ一念発起、定時制高校で猛勉強し、名古屋大に進んだ▼「どん底にいても、夢を捨てなければ幸せになるチャンスが来る」が持論だ。小3の算数ドリルからのやり直しを励ました恋人や、親身の補習で受験勉強を支えた定時制の先生たち。目標へとひた走るものには、しばしば「運命の出会い」が訪れる▼中央大教授を刺殺したとして逮捕された山本竜太容疑者(28)は、はるかに順調な青春である。夢もあった。しかし、熱心な指導教官との出会いは生きず、同じ23歳が「負の回路」への入り口となった▼社会に出れば、思い通りにならないことが多い。「一身上の都合」による転職もあろう。そうした壁に容疑者は背を向けたかに見える。らせん階段の暗がりを引き返し、入り口にいた恩師を恨みで突いた。これでは幸せもノックのしようがない▼「オール1先生」は、若者に「つらいと思ったら成長の途中と前向きにとらえ、壁を乗り越えて」と訴える。宮本さんの強さは本物だが、山本容疑者が並外れて弱いかといえば、どうだろう▼事件が法廷に移れば、審理に裁判員が加わる。容疑者が「今は話したくない」という動機が、情状や量刑を左右しよう・やり直せる20代で爆発した「自己都合」とは何なのか。選ばれた都民は、誰もが秘める弱さをプロと共に裁くことになる。

09.05.24(日)

 韓国のことわざに「往く言葉が美しければ、来る言葉も美しい」とある。日本の「売り言葉に買い言葉」の裏返しだが、前向きなのがいい。言葉にせよ行為にせよ、身から出たものは自分に返る。そんな因果応報の教えを、ことわざの背景に見るのはうがちすぎだろうか▼韓国のノムヒョン前大統領が思いがけない死をとげた。登山中に転落したというが、遺書もあって自殺と伝えられている。その「因」は何なのか。何ゆえの「果」なのか。分からないことがまだ多い。何にせよ、貧家から上りつめた苦労人の痛ましい最期である。▼このところ苦境に立たされていた。妻ら身内が巨額の不正資金を受けていた疑惑が、退任して明るみに出た。自信も収賄の疑いで事情聴取され、近く最高検が最終判断をする見通しになっていた▼政権末期の人気は散々だった。舵取りの失敗で貧富の差が広がった。何か問題が起きると「ノムヒョンのせいだ」と茶化す冗談がはやった。それでも「清廉さ」には信を置く国民が多かったそうだ。イメージが崩れゆく中で落日の思いを募らせたのだろうか▼韓国の大統領には無残な末路が目につく。チョンドウファン、ノテウの両氏が囚人服を着たのは記憶に新しい。そして今回である。死をもっての清算より、生きて真実を語るのが、最高権力にあった人の責任ではなかったか▼6年前、就任直後に日本で出した本に氏は書いている。「国民は真実を語る者には寛大だが、うそをつく者には冷淡だ」。うそはつけない、されど語れぬ真実が、何かあったのかも知れない。