09.05.25(月)
日本では「キン」がよく知られ、アメリカでは「マーサ」が名高い。と書けば、鳥に関心のある方はおわかりだろう。絶滅した鳥の、最後の一羽の愛称である。キンは日本産トキ、マーサはリョコウバト(旅行鳩)。ともに珍しくもない鳥だった。▼とりわけリョコウバトは、何十億もの数が北米の空を覆っていた。だが食用に、羽毛採取に、趣味の狩猟にと乱獲されて絶滅した。ついに1914年、マーサの死で滅ぶ。自然に対する人間の「愚の記念碑」として語り継がれている▼数が多く、身近にいて絶滅など想像できない。かつてのリョコウバトのような鳥が日本ではスズメだろうか。そのスズメが危ないという、気になるニュースを最近よく聞く。60年代の1割ほどに減ったという研究者の推計もあって、心配がつのる。▼環境省の統計にも驚く。80年代初めは300万を超えていたスズメ類の捕獲数が、近年は10万台に減っている。農業の姿が変わって単純には比較できないが、何かがスズメに起きているのは確かなようだ▼街の変化で巣が作りにくくなり、田畑が減ってエサが足りないともいう。作物を荒らすと嫌われつつ、人と生きてきた鳥である。追いつめられても、深山幽谷へ引っ越すわけにはいかない▼チイチイパッパのスズメだけではない。童謡では学校仲間のメダカは絶滅危惧種になっている。もう川の中をのぞいても、、 お遊戯はなかなか見られない▼命盛んな時期である。ありふれたものが、ありふれてある尊さを、小さきものからのメッセージとして胸に刻む。