オリンピック贈賄事件にまつわる兄弟話 | 言霊で思いを実現して生きる

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私には、弟がいます。ですから、兄弟の話には、多少敏感です。

今回のオリンピックにまつわる贈賄事件に関して、私は2組の兄弟のことが気になりました。

まず第一は、贈賄事件の真ん中にいる高橋治之氏。彼には、高橋治則氏という弟さんがいました。「いました」と書いたのは、すでに亡くなっているからです。

弟の治則氏は、かつてバブルの全盛期に、イ・アイ・イ・インターナショナルを率いた経営者です。日本長期信用銀行、東京協和信用組合、安全信用組合から多額の融資を引き出し、リゾート施設を中心とした不動産投資で急成長を遂げました。ハイアット・サイパンを買収し、後にフォーシーズンズ・ホテルとなるリージェント・ニューヨークを建設し、グループの総資産は1兆円を超えるともいわれました。

しかし、バブルの終焉とともに資金繰りに行き詰まり、リゾート施設を次々に手放すことになりました。そして、日本長期信用銀行、東京協和・安全の2信用組合は破綻することになります。

治則さんの経営するイ・アイ・イ・インターナショナルは倒産し、理事長を務めていた東京協和信用組合、安全信用組合への背任容疑で訴追されることになりました。

東京地裁では懲役4年6ヵ月の実刑判決、控訴した東京高等裁判所でも懲役3年6ヵ月の実刑判決を受けることになりました。しかし、最高裁に上告しているうちに日本長期信用銀行による強引な債権回収が発覚するなどし、資産整理にあたった整理改修機構(RCC)は刑事告訴を取り下げる意見書を最高裁に提出しました。

しかし、治則氏は、最高裁の判決が出る前に59歳でクモ膜下出血で亡くなることになります。

私は、兄の治之氏にお会いしたことがあります。当時、すでに電通のスポーツ文化局長か部長だったように記憶しています。弟の無実を主張する本を出したいということでしたが、話の内容がピンとこないのでお断りしました。あまり目を合わせないで話す様子が印象に残っています。

もう1組のオリンピック贈賄事件にまつわる兄弟は、KADOKAWAの角川歴彦会長とその兄の角川春樹氏です。

弟の歴彦氏は、DWANGOとの経営統合をするなど、辣腕経営者として名を知られています。出版の垣根を超えてネットビジネスとの融合を目指して成功を納めて話題となりました。しかし今回ばかりは、事業拡張の方向性を間違えてしまったようです。

兄の春樹氏は、KADOKAWの前身である角川書店の社長として、出版と映画のメディア・ミックスで一世を風靡しました。角川映画の『犬神家の一族』や『人間の証明』は大ヒットしたので、観た方も少なくないと思います。

しかし、民放が映画に進出するようになったほか、人気タレントが角川春樹事務所から独立、さらにハリウッド進出をもくろんで失敗し、一時の勢いは急速にしぼんでしまいました。そのなかで、春樹氏はコカイン密輸などの罪で逮捕されることになります。当時、コカイン吸引で鼻の下に炎症ができていると話題になったものです。ストレスが彼を追い込んだのでしょう。

春樹氏は、1億円の保釈金を積んで保釈されましたが、懲役4年の実刑となりました。出所してから、角川春樹事務所として出版と映画の制作を再開しましたが、いま1つかつての勢いはありません。

高橋兄弟は、お金の面でともに大成功を収めました。治則氏はかつて自家用ジェット機を所有していましたが、治之氏もテレビの画面で大豪邸から3000万円もするベンツの最高峰セダン、マイバッハに乗って出掛ける様子に気づいた方も少なくなかったと思います。

角川兄弟は、多角的な事業進出でともに大成功を納めました。春樹氏がコカインにおぼれたのはその事業の行き詰まりが原因でした。そしていま、歴彦氏もオリンピックのオフィシャル・サポーター契約でつまずきました。

歴彦氏は会見で「僕はそんなに心が卑しくね、今まで50年も経営をしたことはないんですよ」と述べましたが、実際の行動と認識が大きく乖離しているストレスはこれから大きな精神的な問題を抱える要因になりかねないと思わせます。このような乖離は人の心を惑わせる“怖れ”の現れだからです。

どうしているのかなぁ。秋田の弟に思いを馳せる秋の夕暮れです。