ASCA Bulletin 12号:研究の成果は確実に、一歩ずつ | 医薬翻訳のアスカコーポレーション 社長ブログ

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大阪北浜、東京田町にオフィスを持つ医薬・バイオ分野の語学サービス会社 アスカコーポレーション社長 石岡映子のブログ。

ASCA Bulletin 12号が上がってきた。再生医療特集最後を飾るのは東京工業大学の粂昭苑(くめしょうえん)先生。先生の研究により、膵臓の細胞が再生し、糖尿病の新しい治療法が生まれるかもしれない?


膵臓にあるβ細胞の機能が低下すると血糖値がコントロールできなくなり、糖尿病に至る。現在膵臓の機能を根本的に回復させるには移植しか手立てがないのが実情であるが、この再生医療が実現すれば体に負担をかけることなく糖尿病が治るかもしれない、というユニークな取り組みだ。


粂先生のもともとの専攻は発生生物学で、生物のbody plan(生物の体の設計図)からどのように細胞の運命が決まり、分化されていくのかに関心があったそうだ。ハーバード大学に留学した際に師事していた先生のご子息が1型糖尿だったのをきっかけに先生も膵臓の研究をされるようになった、と。ES細胞からインスリン産生細胞を多く取得できるプロトコールを開発され、帰国後2014年にはiPS細胞からインスリンを産生するβ細胞の作製に成功された。


粂先生は東京大学の薬学部ご出身、企業での勤務経験の後、大阪大学で発生医学を研究。米国留学を経て熊本大学でも研究成果を上げられ、現在は東京工業大学大学院生命理工学研究科教授である。Science には1997年に2本、2003年にも1論文が掲載されているのだからそれだけでもすごい。


先生が強調していらしたのは「研究者として重要なのは“確かなプロトコールを作る”こと、“地道な一歩”」。「再生医療の研究には大きな期待に寄せられている。結果を急ぎたい気持ちはわかるものの、確実に進めていくことが最終的に患者さんを助けることになる」とも。


素晴らしい成果を多く上げておられるのに先生はあくまでも控えめ。研究者として、女性として、着実に、一歩ずつ-今の日本の科学界に無くてはならない存在だ。
是非ともBulletinを手にして読んでほしい。


先生の情報は、
http://www.bio.titech.ac.jp/laboratory/kume-shiraki/prof.html
http://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/divisions/stem_cell_biology/


他にも情報満載、ASCA Bulletinは、
http://www.asca-co.com/asca-bulletin.html