【対話】顧問先に教えてもらう | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

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 ここのところ1か月に1度ほどの放送になってしまったNHK『プロフェッショナル』。先日、久しぶりに、見る機会がありました。

 登場したのは靴職人の村上塁さん。「傷ついた靴たちの最後の守り手と呼ばれ、世界中から修理の依頼が殺到する。ほかの修理店や製造元ですら匙を投げた靴も決して断らない」(番組ホームページより)。

 あるとき、明るい茶色の靴をダークブラウンに染め直してほしいとの依頼がありました。明るい色を深い色に染めていく。出来上がった靴を見たとき、「黒じゃないか」と思ったのですが、依頼主の顧客も同じ印象を持ったようです。引き取りの場面で、顧客の表情はさえませんでした。案の定、引き取って3日後に靴が返ってきた。もう少し明るさの入ったブラウンにしてほしいと。

 黒に近いダークブラウンに染めた靴を、いったん落とせるだけ落とし、もう1度、赤を入れて染め直していく。いくら技術があっても、お客さんが喜んでくれなければないのと同じ。そう語っていた村上さんは、この染め直しによってかえって靴がきれいになるかもしれないと考えたようです。「これなんか、お客さんに教えてもらった技術ですよね」と。

 何度か話題にしている所得税の定額減税処理が今月から始まっています。疑問に思う顧問先の方もいて、会話のキャッチボールをしている中で、あるとき、「3万円以上減税されてしまうこともあるのでしょうか」と聞かれました。

 定額減税は本人3万円、配偶者や扶養親族などで対象者がいる場合は1人当たり3万円を加算します。仮に本人だけであれば3万円を超えることはあり得ません。と答えようとして、ハッとした。

 そうか、A社を6月以降に退職し、B社に転職した。A社の源泉徴収、B社での年末調整、A社とB社による自治体への給与支払報告書提出、というすべての業務が法律の規定通りに行なわれれば、定額減税処理が間違えることはないでしょう。

 その中で、何かが抜け落ちれば、たとえばA社の源泉徴収票をB社に持参せず、A社が給与支払報告書を自治体に提出しないといったことが起きれば、結果的に3万円を超えた減税を受けてしまうこともあり得るのかもしれません。つまり、A社の存在がどこにも登場しなくなってしまうと、そこで受けた減税分だけ3万円を超える効果が出てしまうと。

 これも、顧問先と会話をしなければ思いつかなかった事態です。知恵も知識も技術も、すべては相手との関係の中から生じてくるもの。税理士としては、顧問先の業務をきちっと遂行するよう、心がけなければなりません。




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