【対話】精一杯のこころ | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

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皆さま、こんにちは。
税理士・公認会計士(船戸明)の「本業ブログ」にようこそ。

 日本経済新聞1面には、『春秋』という小さいコラムが掲載されています。朝日新聞の『天声人語』がもっとも有名でしょうか。各新聞、1面の小さなコラムが朝の風通しをよくしているような気がします。

 昨日、17日の『春秋』で取り上げられたのは紀行作家の宮脇俊三さん(1926-2003)。過去にも数回、この欄で名前を見たことがあり、もしかしたら同じ人がコラムを書いているのかもしれません。

 何度か書いていますが、私の読書の原点は宮脇俊三さんです。中学生時代、地元にある図書館で偶然『汽車旅12か月』(だったと思う)を見つけました。読んでみて面白かった。いや、淡々とした文章なのですが、今読めば宮脇さんのユーモアあふれる文章が読み取れます。でも、何が中学生の自分に響いたのか、今となっては不思議で仕方ありません。以来、宮脇さんの新しい本が出るたびに購入して、自宅の本棚には今も著作がずらっと並んでいます。

 今回のコラムで紹介された著作は『最長片道切符の旅』。北海道から九州へ、同じ駅を通らない1万3319kmの「片道」切符での道程です。「冒頭に、このめんどくさい切符を渋谷駅に買いに行く場面がある。差し出された詳細なメモを見て、職員は絶句した。上役と相談するために、ついたての向こうに姿を消した」(17日、日経)。

 手元に、単行本ではなく、文庫版『最長片道切符の旅』(新潮文庫)があります。「渋谷駅の遠距離切符の窓口には数人の客が並んでいた。私は気が重くなった」(P.22)。「私は渋谷駅の一〇番窓口に例の三枚のレポート用紙と線路図を差し出した。すべては紙に書いてあるし、説明することもないので黙っていた。けだるいような昼下りであった」(P.24)。

 で、その後、コラムにあるようについたての奥へ。さらに、駅窓口では販売できないとなって、渋谷駅構内の旅行センターへ。「ここはいつも混み合っているのだが、時間のせいか珍しく空いており、胸に名札をつけた中年の係員が「いらっしゃいませ」と言った。愛想はよかったが、私の差し出したものを見ているうちに眉の間に縦の皺(しわ)ができ、この人もまた衝立ての向うに姿を消した」(P.25)。

 結局、切符ができたのは4日後。「六万五千円もの買い物をするのは久しぶりであったが、高いとも安いとも思わなかった。金を払っている、という感じがしなかった。「本当に乗るんですか」と若い係員が切符を手渡しながら訊ねた。「乗りますよ」と私は答えた」(P.27-28)。

 宮脇さんのユーモア、面目躍如の文章です。対応した係員も、面倒と感じたり、戸惑いを覚えたりもしながら、真摯に対応している。精一杯のこころを殴っちゃダメ、と歌ったのは長渕剛さん(@指切りげんまん)。人の言葉や行動を茶化すことだけはしないでおこう。茶化して笑うのは自分の言葉や行動だけで十分。あらためて、そんなことを感じています。




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