【対話】うんざりする | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

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皆さま、こんにちは。
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 最近、「うんざりするなあ」と感じる機会が増えたように思います。これまで、半世紀も過ごしてきた中で、自分の語彙の中に「うんざり」という言葉が登場する機会は少なかったはず。でも、ここに来てそう感じるのは、年齢なのか、焦りなのか、思い込みなのか、なんなのだろうと思案しています。

 5日、こどもの日。詩人の暁方(あけがた)ミセイさんが、日本経済新聞に不妊治療した際の話を寄稿していました。「不妊の原因がわからなかったので、真っ白な検査薬を見て落ち込んでは、すぐに、いやいや、きっと今までは運が悪かっただけで、次こそはうまくいくはずだと自分を奮い立たせる。でもそのうち、それにもうんざりしてくる」(5日、日経)。

 自分の努力と気の持ちようをいくら変えても、事態が好転するとは限らず、同じループの中を行ったり来たりでちっとも進歩しない。そう、最近「うんざり」感じる場面に共通しているのは、ちっとも進歩していないということ。今どきですか。昭和ですか。逆行してませんか。そう呟ける気力があるうちはまだマシで、気力がなくなったときにうんざりしているのではないかと。

 暁方さん、不妊治療に気持ちが揺れ動く中、真冬の京都に旅に出たそうです。南禅寺の塔頭(たっちゅう)の金地院(こんちいん)に偶然立ち寄り、襖絵を見せたもらったのだとか。「ふわふわの毛の可愛い猿が、細い枝にぶらさがり、水に映る月に手を伸ばす様子が描かれている。「猿猴捉月(えんこうそくげつ)図」は長谷川等伯の作品で、枝は折れ、猿は溺死する運命。身の程を知らずに身を滅ぼす、愚かな猿の説話を絵にしたものだそうだ」(同)。

 かわいそう、と呟いた暁方さんに、係の方がかけた言葉がしゃれています。「大丈夫です! このお猿さんは400年、この状態のまま水に落ちずに、耐えてます!」(同)

 つられて大笑いした暁方さんの言葉は、詩人の面目躍如でしょうか。なかなか読みこなすのが難しい。「そうか、猿の憧れは永遠になったんだなあ、と思った。結果と、過程にある瞬間は、存在的な価値としては同じなのかもしれない。うっかり、正しい教訓とは逆のものを受け取ってしまった」(同)。

 不妊治療の子どもは水に映る月で、暁方さんはそれをつかもうとしている猿、ということか。「もしも、不妊治療が成功しないまま貯金を使い切ってしまっても、よし。また、後でこれだけ望んだ子育ての日々に後悔し、盛大に弱音を吐いたとしても、よし。どの私も、いてもよし。大切なのは結果に「納得すること」だけだ。……自分で決めました。ただ、それだけが言えたらいいことにしようと思ったのだった」(同)。

 自分で決めました、と言えるのが、自営業の最大の魅力だと思います。そして、だからこそ、自分で決めましたと言えない人たちに寄り添わなければならないのだとも。うんざりする自分がいても、よし。でも、あ、今うんざりしているな、と感じることを忘れないようにしようと思います。




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