【読書】鈴木邦男の愛国問答 | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

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 本は、極力、本屋さんで買うようにしています。アマゾンは便利で、事務用品や登山用品の購入には利用しますが、ポチっとするたびに、かつて読んだ『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』という本が頭をよぎる。いや、それもそうですが、本屋さんで本と「目が合う」体験は、やはり嬉しいものなのです。

 そうして出会ったのが『鈴木邦男の愛国問答』(集英社新書)でした。帯に鈴木さんの穏やかな笑顔の写真が掲げられていて、それこそ著者と目が合った。右翼活動家として無茶なこともしてきた鈴木さんですが、最後は右からも左からも攻撃を受けるくらい真っすぐな生き方を貫いた方だと思います。

「「右翼」という言葉は別に僕らが自分から名乗ったことはない。でも、マスコミや一般の人からは「右翼」と呼ばれることが多い。そのたびに訂正するのも面倒だし、「まあ、何とでも呼んでくれ」という感じだった。いわば「あだ名」のようなものだと思っている」(P.271)。

 鈴木さんの言動でほとほと感心するのは、人に対する柔軟さです。自分とは違う考えの人に出会うと、すぐに反省し、学び、自身の考え方を更新していく。決して、右翼だ左翼だといったイデオロギーで凝り固まらない。いや、若い頃は固まっていたはずですが、他人を見て自身が学び続ける好奇心が土台にあったのだと思います。そうしているうちに、世の中のほうがどんどん右に傾いてきて、いつの間にかまっすぐな場所に立っていた。

「「転向だ」「変節だ」と言われるのは覚悟の上だ。昔の運動があって、自分があるわけではない。過去の誤りは訂正する。当たり前のことだと思う」(P.97)。

 これができる人がどれだけ少ないことか。そして、自分は誤っていないという鎧を着こむ。だから、表情が険しいものになってしまう。鈴木さんの柔和な笑顔は、何かを降りた人が持つ柔らかさであり、穏やかさなのだと思います。

 2010年前後に雑誌に連載された原稿が中心で、その後の15年ほどで、状況がよくなっていると思えない。そう感じさせる記述もたくさんありました。まだ15年前のほうが、報道も自由で、気骨があった。

「まわりの国々と仲よくする努力もしないで、挑発し、わざと批判・攻撃を呼び寄せて、「ほら見ろ、だから防衛だ」「だから改憲だ」と言っている。孤立する国民も「そうだ、そうだ」と思う。国が強くなれば、自分も強くなれるような気がする。改憲したら、我々一人ひとりも強くなれる。賢くなれる。そんな気がするのだろう」(P.92、2016年7月のコラム)。

 鈴木さんの声は、まったく古びておらず、もっともっと聞いてみたい。それがかなわない今、私たち一人ひとりがどう考えるのかが問われているのだと思います。一人ひとりが鎧を脱いで穏やかな笑顔になるには、どうすればいいか。

 当たり前のことを、当たり前に実行していきたいとあらためて思います。




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