【解説】特別損益区分 | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

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 損益計算書に計上される「利益」には、いくつかの区分があります。

 売上総利益:商品やサービス提供したことで直接得られる利益。ごく単純に言えば、100で仕入れた商品を120で売ったときの20です。

 その営業活動のためには費用がかかる。銀行から資金調達も必要かもしれません。利益が出れば納税も必要です。

 営業利益:本業の営業活動による利益。
 経常利益:資金調達も含めた経常活動による利益。
 当期純利益:税金を差し引いた1年間の利益。

 経常利益と当期純利益の間に「特別損益」という項目があります。先日、とある決算書の特別損失に「固定資産除却損」という勘定科目が登場。珍しいことではなく、使ってきた固定資産を廃棄したり買い替えしたりした場合に、これまで使っていた固定資産の帳簿価額を「除却損」に計上して会計上の帳簿残高を0にするのです。

 除却損が発生する事態は珍しいことではないのに、なぜ「特別」損失なのか。弥生会計の科目設定も、「固定資産除却損」は特別損失に設定されています。はたして、正しいのでしょうか。

 企業会計原則には次の記述があります。「特別損益は、前期損益修正益、固定資産売却益等の特別利益と前期損益修正損、固定資産売却損、災害による損失等の特別損失とに区分して表示する」。「使用」を前提とした固定資産を「売却」するのは特別損益と明記されていますが、注解も含めて除却損についての明言はありません。企業会計原則注解で示されている特別損益は、臨時に発生する損益と、過年度の内容を修正する損益です。実際、上場企業でも除却損を(特別損失ではなく)営業外費用に計上しているケースもあるでしょう。

「当社は、電話関係設備の更新を契機に回線の使用状況や契約内容を見直した結果、不要となった電話回線の解約による損失(5百万円)を「固定資産除却損」として営業外費用に計上いたしました」(東証2部、図研エルミック、2022年3月25日)。

 先日出会った除却損についても、既存事業から撤退したり、技術革新によって急速に陳腐化したりといった異常な除却ではなく、通常の過程で生じるもので金額も大きくない。であるなら、わざわざ特別損失に計上する必要もなく販管費でもいいのではないでしょうか、という話をしました。臨時でも、過年度修正でもないのですから。なんとなく、習慣や前例で続けている処理について、常に疑問を持っておく必要がありそうです。




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