こんにちは。
大阪南船場の早起き税理士・公認会計士(船戸明)の
「本業ブログ」にようこそ。
税法について、
もちろん、条文を覚える必要はないと思うのですが。
それでも、主要な条文は頭に入っていないといけないなあ、と感じます。
たとえば、
法人税の計算は、基本的に会計基準に従うという条文。
――――――――――
法人税法第22条 (各事業年度の所得の金額の計算)
…(略)…
4 第2項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
――――――――――
会計は、利益の計算。
税法は、課税所得の計算。
ただ、両者がバラバラに存在するのではなく、
会計の利益計算を基礎としつつ、
公平性や二重課税の排除など、
税法独自の要求には「別段の定め」を置く。
その構造が明確にされています。
会計を基礎とする、
という点では「確定決算主義」も税法の根本にある考えです。
課税所得と納税額を計算する法人税の申告は、
法人の確定した決算を基礎とするのだと。
――――――――――
法人税法第74条 (確定申告)
内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から2月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
◆1 当該事業年度の課税標準である所得の金額又は欠損金額
◆2 …(以下、略)…
――――――――――
「確定した決算に基づき」とある部分です。
決算を確定させる手法は、法人によって様々ですが、
年に1度の定時総会というケースが多いかもしれません。
ちなみに、上場企業のように、
「会計監査人」設置会社については、
定時総会における決算の承認は不要とされています。
原則、定時総会において決算の承認が必要という条文が、こちら。
――――――――――
会社法第438条(計算書類等の定時株主総会への提出等)
次の各号に掲げる株式会社においては、取締役は、当該各号に定める計算書類及び事業報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。
◆1 第436条第1項に規定する監査役設置会社(取締役会設置会社を除く。) 第436条第1項の監査を受けた計算書類及び事業報告
◆2 会計監査人設置会社(取締役会設置会社を除く。) 第436条第2項の監査を受けた計算書類及び事業報告
◆3 取締役会設置会社 第436条第3項の承認を受けた計算書類及び事業報告
◆4 前3号に掲げるもの以外の株式会社 第435条第2項の計算書類及び事業報告
2 前項の規定により提出され、又は提供された計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければならない。
…(以下、略)…
――――――――――
そして、会計監査人設置会社についての例外(決算は報告事項)がこちら。
――――――――――
会社法第439条(会計監査人設置会社の特則)
会計監査人設置会社については、第436条第3項の承認を受けた計算書類が法令及び定款に従い株式会社の財産及び損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令で定める要件に該当する場合には、前条第2項の規定は、適用しない。この場合においては、取締役は、当該計算書類の内容を定時株主総会に報告しなければならない。
――――――――――
いずれにせよ、確定した決算に基づいて法人税の申告を行なうのが基本。
先の法人税法第74条を「形式的な」確定決算主義、
法人税法第22条第4項を「実質的な」確定決算主義、と呼ぶ分類もあるようです。
間が長くなりましたが、
こうした基礎的な条文は、
いつでも諳んじられるくらいにしておかなければなりません。
自戒の意味も込めて、ここに記しておきます。
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