【解説】森林環境税の創設 | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

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こんにちは。
大阪南船場の早起き税理士・公認会計士(船戸明)の
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 住民税に、1,000円上乗せ。

 現在、東日本大震災対応ということで、
 個人1人あたり1,000円が上乗せされて徴収されています。
 恒久措置ではありません。
 平成26年から平成35年までの10年間限定の措置です。


 では、その後はなくなるのかといえば、No。
 内容の連動はないと思いますが、
 平成36年から徴収されるのが森林環境税です。

 居住者に、平成36年度から、年額1,000円。
 個人住民税と合わせて市町村が徴収し、都道府県経由で国へ。
 国が一定の基準で、市町村と都道府県に配分。

 もとはと言えば、平成29年の税制改正大綱に明記されました。

――――――――――
森林整備や木材利用を推進することは、地球温暖化防止のみならず、国土の保全や地方創生、快適な生活環境の創出などにつながり、その効果は広く国民一人一人が恩恵を受けるものである。しかしながら、森林現場には、森林所有者の特定困難や境界の不明、担い手の不足といった、林業・山村の疲弊により長年にわたり積み重ねられてきた根本的な課題がある。その対策に当たっては、森林現場に近く所有者に最も身近な存在である市町村の果たす役割が重要となる。
――――――――――

 それを受けて、平成30年に農林水産省が税制改正要望。

――――――――――
平成29年度与党税制改正大綱を踏まえ、市町村が主体となって実施する条件不
利地域の森林の整備等に必要な財源に充てるため、都市・地方を通じて国民に等
しく負担を求めることを基本とする森林環境税(仮称)を創設する。
――――――――――

 1年遅れて、平成31年度税制改正で実現することになりました。


 森林環境整備。
 なるほど、と思ってしまいがちですが、
 どうも、そんな単純な話ではなさそうです。

 今読んでいるのが、
 ジャーナリスト堤未果さんの『日本が売られる』(幻冬舎新書)。

 その中に「森林が売られる」という項目があり、
 こんなことが書かれています。

――――――――――
 2018年5月。
 参議院本会議で、またしてもほとんどの国民が知らないうちに、日本の資産を売る法改正が決められた。
 その名も「森林経営管理法」だ。
 自治体が森林を所有する住民の経営状況をチェックして、「きちんと管理する気がない」とみなされたら、どこかの企業に委託してその森林を伐採できるようにする。
 所有者が「切らないでくれ」と言っても、市町村や知事の決定があれば、所有者の意思に関係なく伐採しても良い(樹齢55年以上のものはすべて伐採)。
…(中略)…
 森林を伐採するための費用は、政府がわざわざ無期限延長してくれた森林環境税(国民一人につき1000円)が後押ししてくれることになったので、企業側の経費は安く済むだろう。
(P.106,109)
――――――――――

 官僚は、ウソをつく。
 そういえば語弊があるでしょう。

 大人は、ウソをつく。

 そのウソにいかに目を向けるか。
 そのウソを見つける批評性を失わないようにしたいと、切に感じます。




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