ヴァイオリンの弓で叩かれた?誰に…

 

私の父は松江でヴァイオリン教師をしていました。

当時、島根県ではかなりの有名人で、田舎町にクラシック音楽を根付かせ、その弟子の数は相当数にあり、東京や京都の有名オーケストラに入団したのをはじめ、当時は毎日コンクールと称していた最も権威のあるコンクールで、全国一位に二人、全国二位に一人と、大阪大会で一位になった生徒を3人も輩出したのです。

 

幼少期にヴァイオリンを教わっていた私は、弟子には絶対やらない父に、弾けないと弓で叩かれていました。

これを母が見るに見兼ね、ピアノに転向させたのです。

叩かれた当の本人は涙も見せずヴァイオリンを構え、先生である父の指示を待っていました。

気の強かった私は嫌だと思わず、そのままヴァイオリンを続けていたかったなあと、今でも思うのですが、ピアノに転向し専門職に就き現在に至るとなった訳です。

 

今思うに、母が介入しなかったら私はヴァイオリンの道に進んでいたなあと思うと、人生の選択肢って一体どれだけあるのだろうかと、思わずにはいられませぬ。